#てつがくのドンカラス

それでは皆さん元気よく!不意打ち追い討ち?桜内!得意な技は?タイプ不一致!

信じたその心を灯す輝きを必ず明日へ繋いで

 『CHASE!』の後に披露された『Break The System』が本当に印象に残っています。

 校内フィルムフェスティバルで生まれたこの曲は、いわば「あなた」と歩夢の絆のifとなる物語を背負ったものだったので、最近まであまりピンと来ていなかったんですけど、今回のA・ZU・NAのライブで新たに見えたものや、改めて気づいたことがあって、歩夢の曲の中で一番好きな曲になったので、今回はそのことについて触れていこうと思います。

 

 

キズナエピソードでの『Break The System』

 知ってるよ~!っていう「あなた」は、ここは読み飛ばしてしまって大丈夫です。

 

 

 キズナエピソード23話『私たちの地球を守りたい!』から始まった校内フィルムフェスティバル編で、歩夢はSF研究部のプロモーションを手伝う事となり、自主制作アニメのOPを担当する事になりました。

 

 SFの世界に馴染みがない歩夢にとって、「何度も時間を巻き戻して未来を変えようとする」はあまり取りつきにくい物語ではありましたが、「あなた」や璃奈と話していく中で、大切なものを守るために諦めずに挑み続ける主人公の姿は自分にとって素敵だと思えるものだという事に気づき、それを歌のテーマにすることにしました。

 

 そんな中で、歩夢が新しく身につけた力は、自分のわがままを貫き通す力でした。主人公が諦めない理由は、あくまで自分のため、自分の大切なものを守るという、譲れない未来を勝ち取るためのもので、正義とかそういうための戦いじゃないんですよね。

 大切な人を守るとか、未来を掴むとかも、誰かのためとかそういう大義があるわけじゃなくて、あくまで自分の意志でそうしたいからです。

 

 だから、歩夢は「あなた」に一日だけわがままを聞いてもらいます。

 世界のすべてを敵に回してでも掴みたいものを守ろうとするってどんなことなんだろう、自分にとって、世界のすべてを回してでも貫きたいものってなんだろうって。それを知るために、歩夢と「あなた」が行ったのは……

 

 

 

 2人でいつもよりオシャレをして、いつもより背伸びしたレストランでランチをして

 

 

 2人だけの大人ごっこをして。

 

 一緒に記念写真を撮って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 吸ゥゥゥゥゥッゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 失礼。少し失神していました。

 

 

 こんな風に、絶対に失いたくない「あなた」との想い出を作ること、自分にとって何よりも大切なものを噛み締めることで、それを守り抜くためにどんなことだって頑張るんだという決意を新たにします。

 

 

 

 

 

 世界すらも敵に回して、ルールにも次元にも逆らって、それでも貫きたい「わがまま」は、歩夢にとっては「あなた」との時間だったんですね。

 

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かつて世界を敵に回したスクールアイドル

 さて、世界をも敵に回してでも自分のわがままを貫く意思を手に入れた歩夢ですが、虹ヶ咲には、歩夢と同じようにこの世界を敵に回してでも自分の野望を叶えようとしたスクールアイドルがいます。

 

 優木せつ菜です。

 

 アニメで歩夢が憧れた『CHASE!』ですが、それはかつてこの世界に対して反旗を翻す曲でした。

 

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 1stLIVEのヘッドライナーとして、『CHASE!』と『MELODY』を披露したせつ菜は、大好きを自由に叫べないこの世界に革命を起こすためにステージに立っていました。

 

みんなには好きなものがありますか?

もしあるならば、胸を張って、好きなものを大好きだと言えますか?

言えないのなら、そんな世界は私と変えてしまいましょう!

私は、みんなと一緒に作りたいですっ!

誰もが大好きを素直に伝えられるような世界を……!!

 

 

 せつ菜にとって、みんなの「大好き」は、世界のすべてを敵に回してでも守りたいものだったのだと思います。

 

 

 

2023/2/05

 『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会UNIT LIVE! ~A・ZU・NA LAGOON~』DAY.2公演。

 

 前日とはセットリストの順番が入れ替わる形でライブは進行していきました。

 DAY1は、ソロパートのラストを務めたのは『Awakening promise*1』でしたが、この日はアニメ曲が前半に配置され、後半に『エイエ戦サー』『CHASE!』『Break The System』と繋がっていく流れとなりました。

 

 そして、DAY2のこのソロ後半パートで、私は二つの異変に気付くことになります。

 

 

 

 

 ひとつは、楠木ともりさん演じる優木せつ菜の『CHASE!』について。

 

 

 虹ヶ咲ソロ披露回数最多の、何度も聴いてきた高音の歌い出しが聴こえてきた瞬間に絶叫が轟く会場。

 興奮の中ステージを見ると、そこに立っていた楠木ともりさんは、笑顔だった前日とは打って変わって、全身から凄まじい殺気を放っていたんです。

 

 それは、まるで1stライブの時のようでした。

 鋭い目線で睨むように吠える姿や、ノイズのようにタイミングを計り辛くしてくるようなエコーに邪魔をされ、苦悶の表情を浮かべているかのように歌うその姿は、まるで世界中のすべてと戦っていて、観客である私たちすら敵に回しているような孤独ささえ感じてしまうように映って。

 

 

 彼女自身は、誰がどう見ても万全なんです。動揺してるわけでもない。体調が悪いわけでも、体力が尽きているわけでもない。

 

 でも、そこにいるせつ菜は、今のせつ菜じゃなくて。1stの時みたいな、孤独で近寄りがたくて、そして、まだ「大好きで溢れる世界」なんて全然実現できていないときの、あの日のせつ菜がそこにいるように見えたんです。

 5thライブやDAY1で見せてくれた、私たちと一緒にちょっとだけ「大好きで溢れる世界」に近付くことができたあの表情なんてどこにもなくて、それらを全部否定してまた孤独に戦い続けるような、そんな姿に見えたんです。

 

 

 ……途中までは。

 

 殺意や敵意を全開にして、髪を振り乱しマイクを睨みながら1番を歌い切った楠木ともりさんが、間奏で顔を上げ、私たちに掛け声を求め始めたとき。

 その表情はさっきまでの狂気に駆られたような必死な表情じゃなくて、世界が少しずつ野望に近付くにつれて楠木ともりさんが見せてくれていた、あの優しさと愛しさが詰まった最高の笑顔だったんです。

 

 この時、私は大きな思い違いをしていたことに気づきました。間奏が終わった2番から、確かに楠木ともりさんの表情は戦いの表情に戻りました。

 何物を寄せつけないようなオーラを放ち、表情も全然笑ってなくて、一見孤独だったあの頃のようにも見えるような姿でもありました。

 

 でも、違うんです。優木せつ菜も、楠木ともりさんも、孤独じゃなかったんです。

 あの場所にいた私たちや、優木せつ菜/楠木ともりが大好きな人たちは、「大好きで溢れる世界を作る」ために変えるべきもの、倒すべき敵じゃなかったんです。

 

 

 

 確かに、あの『CHASE!』は、戦いでした。野望を果たすために、この世界を変えるために、壮絶な戦いを繰り広げているまさしく「革命」でした。

 でも、たったひとりで戦っているんじゃない。せつ菜の隣には、楠木ともりさんの隣には、志を同じくする仲間が、あの日大好きを一緒に叫んだ人たちがいて、彼女はそんな大好きで大切な人たちと一緒にステージに立っていたんです。

 

 

 2023年2月5日の『CHASE!』、楠木ともりさんの最後の『CHASE!』は、すべてを敵に回した孤独な戦いでも、私たちと作った「大好きで溢れる世界」に浸る場でもありませんでした。

 

 「大好きで溢れる世界」を作るという優木せつ菜/楠木ともりの野望を叶えるために、彼女のことが大好きで、せつ菜の野望を一緒に叶えたいと本気で願った人たちが、同じ夢を見て一緒に戦っている。

 その大きすぎる野望が、ひとりからふたりへ、ふたりからみんなの中へと伝わって行って、そして少しずつ叶っていったこの世界の中を、もっともっと大好きで溢れるものにするために、今もなおみんなで追いかけ続けている。

 

 そういう希望に満ちた戦いだったんです。

 

 

 ひとつめの異変は、『CHASE!』のパフォーマンスが、今まで見たことのない全く新しいパフォーマンスに進化していたこと、私たちと一緒に夢を追いかけるような、そんな「今の優木せつ菜」らしいものになっていたことでした。

 

 

 

 そして、このソロパートで起きたもう一つの異変は、楠木ともりさんの次に『Break The System』で登壇した大西亜玖璃さんのパフォーマンスが、楠木ともりさんのこの戦いを引き継ぐようなものだったことです。

 

 楠木ともりさんと入れ替わりで登壇した大西亜玖璃さんの目は、それまで見たことが無いほど鋭いものでした。

 ダンスもいつもより力が籠っていて、それはまるで、せつ菜が引っ込んでもなお会場に残る闘志が歩夢を駆り立てているかのようでした。

 

 世界すらも敵に回す決意をした歩夢と相対することは、もしかしたらせつ菜と相対することよりも恐ろしいのかもしれません。

 

 元々圧を掛けるのが得意な方ではありますが、そのオーラは先ほどの楠木ともりさん以上に、見ているものの肌に突き刺さってひれ伏せさせるような、そんな凄みがあったと思います。

 

 でも、間奏になると、そんな表情は解け、いつもの優しい笑顔を見せてくれました。

この表情をしている大西亜玖璃さんの顔の美しさが、私が歩夢のことが好きな理由として本当に大きいんですけど、あんなに髪を振り乱して殺気を放っている中でも、大好きなその表情を見せてくれる姿を見て、思ったんです。

 

 この、『Break The System』って、「大好きで溢れる世界」*2を背負っているんじゃないかって。

 

 だって、『Break The System』だったら、背負えてしまうんです。

 歩夢はこの曲について、「世界のすべてを敵に回してでも守りたいもの」のための曲だと言っているんです。そして、せつ菜にとっての「大好きで溢れる世界」は、世界に革命を起こしてでも叶えたい野望で、そして、私たちと一緒に叶えていく野望でもあるんです。

 

 4thライブでこの曲が初披露された時、大西亜玖璃さんはSF同好会代表としてのパフォーマンスのDAY1と、上原歩夢として大切なものを守りたい想いを表現したDAY2で演じ分けていたと発言していましたし、その発言がなくても、その差は歴然でした。

 元の曲に忠実に、憂鬱な表情の中から溢れ出る想いの強さが強調されたDAY1に対して、DAY2(とA・ZU・NA DAY1)は何よりも「あなた」のことを想う歩夢の愛情がそのまま強さに変わっていたような、凛々しさと美しさを兼ね備えた圧倒的なパフォーマンスでこの曲は披露されました。

 

 だからこそ、どんなことをしてでも戦い抜く姿勢と、野望を一緒に叶える人たちへの愛情をパフォーマンスに込めることで、あの『Break The System』は、どんなことをしてでも叶えたい野望である「大好きで溢れる世界」、優木せつ菜と私たちの夢を上原歩夢/大西亜玖璃が背負っているような、そんなステージだったんです。

 

 

 

夢はひとりのものじゃない

 そして、そんなステージを見ながら気づいたのは、あの『Break The System』って、「あなた」である私たちがずっとずっと虹ヶ咲で築き上げたものの結晶なんだってことでした。

 

 あの日、上原歩夢/大西亜玖璃は、確かに優木せつ菜/楠木ともりの野望を背負っていたと思います。

 

 でも、その背負い方って、あくまでも夢の背負い方や叫び方を重ねるっていう方法で、曲そのものをせつ菜に寄せてるわけじゃないんです。

 

 『Break The System』自体には、「大好きで溢れる世界」という要素はありません。あくまでも、それを実現する過程に重ねられるだけ。

 歩夢は、あの曲で「大好きで溢れる世界」を背負ってはいたけれど、でも、それってせつ菜みたいに直接それを叫ぶんじゃなかったんです。

 

 どんなことをしてでも叶えたい夢を、絶対に叶えるんだという意志。優木せつ菜/楠木ともりの中に灯るその意思の炎を、同じように灯して見せた。それが、上原歩夢/大西亜玖璃の『Break The System』だったんです。

 

 

 

 夢を叶えたいという想い、どんなことをしてでも絶対に叶えるんだという意志。そこに焦点を当てているのが、あの日の『Break The System』だった。私はそう思います。

 

 

 そして、それは、せつ菜の野望に限った話じゃないんです。

 だって、夢を叶えたい想いは、スクールアイドルだったら誰でも持っているものだったから。

 そして私たちは、そのスクールアイドルの夢を今まで一番近くで見てきたはずだから。そうでしょ?

 

 

 確かにあの日は、歩夢にとって夢をくれたキャラクターであり、現実でも作中でも目標でもあったせつ菜の『CHASE!』からバトンを受け取った、「せつ菜の野望」を背負ったパフォーマンスだったと思います。

 

 

 

 

 でも、私にはそれだけだったとは思えません。

 

 だって、歩夢が見せてくれた、「誰かの夢のバトンを受け取り、同じ情熱で一緒に叶える意志」って、今まで虹ヶ咲が大好きで、「あなた」として隣を走り続けて来た私たちの応援の仕方、私たちのスクールアイドル活動の在り方そのものだからです。

 

歩夢ちゃんが夢に向かってひたむきに進んでいくのをずっと支えたい!!

かすみちゃんのかわいさできゅんきゅんしたい!!

しずくちゃんの世界で溺れていたい!!

果林さんの熱いまなざしに翻弄されていたい!!

愛ちゃんが全力で楽しむ姿を見て、私も一緒に楽しみたい!!

彼方さんのわがままをなんでも叶えてあげたい!!

せつ菜ちゃんが野望を叶えるお手伝いがしたい!!

エマさんの包み込むような歌声に浸っていたい!!

璃奈ちゃんが世界中のみんなと繋がれるところを見ていたい!!

栞子ちゃんが世界を変えていく、一番最初の目撃者になりたい!!

ミアちゃんの透き通るような歌声を聴いていたい!!

ランジュさんの全力を受け止めて、それ以上の気持ちで返したい!!

 

あははっ!これが私のスクールアイドル活動!

スクールアイドルのみんなに大好きだって伝えること!!

 

29章『これが私のスクールアイドル!』 第9話『私にとって!』

 

 

 『Break The System』で、上原歩夢/大西亜玖璃は、変えるべき世界には戦う意志を、一緒に夢を見る私たちは愛情を見せてくれました。

 そしてその姿は、他でもない「あなた」としての私たちの姿そのものでした。

 

 

 

 

 思えば、スクールアイドルにとって隣で同じ夢をみる私たちの姿がどれほど頼もしくて、どれほど力になっているのか。高咲侑を含めた「あなた」がスクールアイドルにとってどんな力をくれるのか。

 そして、そんな「同じ夢を見ること」を『「私」の夢』と言ってもいいのだという事を教えてくれたのは、いつだって歩夢でした。

 


16章『みんなの夢のために‐後編‐』 第8話『メッセージフロム……』

 

でも、私が一番安心できるのは、あなたが声をかけてくれること

一番側で応援してくれて、喜んでくれて……

 

私は……ううん、スクールアイドルは、

ひとりぼっちじゃスクールアイドルになれないんだよ

だけど、ひとりでも応援してくれる人がいれば、なれるの

こんな私でも、スクールアイドルになれるんだよ

 

あなたが私を誘ってくれて、あなたが私に

できるって言ってくれて、いつだって私を見てくれて、

だから私はスクールアイドルになれる

 

あなたがどう思おうと、私にとっては本当のことだもん

あなたが一緒だから、私はスクールアイドルが出来るんだよ

 

「夢への一歩」は、私にとって最初の一歩

この曲が、あなたのスクールアイドル活動にとっても

最初の一歩だった、って思ってくれたら嬉しいな

 

あなたが私の手を握って離さなかった時の、あの熱さ……

ずっと忘れないよ

私の初まりの曲に、閉じ込めたもん

うん! 私たちふたりの、最初の一歩だよ!

 

 

29章『これが私のスクールアイドル!』 第8話『思い出した最初の一歩』

 

うん。侑ちゃんもスクールアイドルだもん。

 

アニメ2期13話 『響け!ときめき――。』

 

歩夢「あなたは気づいてないかもだけど、

私の夢も、あなたの背中に乗ってるんだよ

私の夢もね、隣にあなたがいてくれるから頑張れるんだ。

あなたと叶えるつもりだから、一生懸命になれるんだよ」

 

愛「歩夢の言う通り。愛さんたちの夢ってさ、

もう一人だけの夢じゃないんだよね」

 

ミア「ボクたちと、キミの夢だよ」

 

歩夢「だからあなたは、ここにいる誰よりも

たくさんの夢を持ってるんだよ」

 

41章『「私」の夢』 第8話『吹き飛ばせ!』

 

 

 

 今まで歩夢がそうしてきたように、今回もまた歩夢は教えてくれたと思うんです。『Break The System』でみんなの夢を背負うことによって、スクールアイドルにとって「一緒に夢を見てくれる人がどれだけ頼もしいか」という事を、その気迫に満ちたパフォーマンスで証明してくれたんです。

 

 

 

 

 

 

 そして同時に、歩夢が「一緒に同じ夢を見る」姿を見せてくれたことは、その頼もしさを証明すること以上にもう一つ大きな意味を持っていたと思います。

 

 それは、歩夢が「一緒に同じ夢を見る」姿を見せることは、上原歩夢/大西亜玖璃が私たち「あなた」の夢を一緒に背負っているということ、「スクールアイドルを応援しして『あなたと叶える物語』を実現する」という私たち「あなた」の夢を、上原歩夢/大西亜玖璃が一緒に叶えようとしてくれているということです。

 

 

 

 歩夢のスクールアイドル活動の根底には、幼馴染である「あなた」の存在が欠かせませんが、その「あなた」の夢は、スクールアイドルそれぞれの夢と密接に関わっています。

 例えば、侑と「あなた」が自分にしか作れない曲として産み出した『TOKIMEKI Runners』は、自分のスクールアイドルが大好きという気持ちが込められた曲でした。

 また、スクールアイドルフェスティバルは、みんなの夢を叶える場所と称されていますが、逆に言えば、夢が叶わないスクールアイドルがいたなら、みんなの夢を叶える場所を作りたい侑の夢も「あなた」の夢も叶わないんです。

 

 

 

 そして、そんな「あなた」の夢は、もう「あなた」ひとりのものじゃないんです。「あなた」が一緒に見たそれぞれのスクールアイドルの夢も、二人だけのものじゃないんです。

 

 だって、「あなた」が叶えようとしているその夢は、「あなた」の夢であると同時に、歩夢の夢でもあるからです。

 スクールアイドルフェスティバルを実現させるという夢は、「あなた」の夢、侑の夢だからという理由で、いつしか歩夢の夢となっていました。

 

 「スクールアイドルが大好きな気持ちを表現する」ことから始まった侑のピアノに対して、歩夢は

侑ちゃんもどんどん進んでいってくれなきゃ、置いていっちゃうんだから。

2期12話『エール!』

と言っているように、侑と歩夢が同じ歩幅で歩いていくことを前提に話をしています。

 

 

 「あなた」の夢も侑の夢も、歩夢にとっては自分の夢だから、それが叶わないことは自分の夢が叶わないのと一緒だし、自分の夢と同じぐらい叶えたいものなんですよね。

 

 

 

 だから、私たちの「スクールアイドルの夢を叶えたい」という夢を背負って、一緒に叶えようとすることって本当に歩夢らしいと思うし、それって上原歩夢/大西亜玖璃の最大の魅力だと思うんです。

 

 

 だって、虹ヶ咲が東京ドームに立つこととか、A・ZU・NAを最強のユニットにするとかそれって私たちの夢だと思うんですけど、大西亜玖璃さんを見ていたら叶いそうな気がしてくるじゃないですか。

 

 虹ヶ咲のメンバーそれぞれが掲げる夢、私たちが叶えたい夢だって、上原歩夢/大西亜玖璃が「叶える」って言ったら叶えられそうな気がしてくるんです。

 

 

 だって、虹ヶ咲の夢、スクールアイドルの夢を叶えたいと思っている「私」の夢を、同じように本気で叶えようとしてくれているのが、上原歩夢/大西亜玖璃というスクールアイドルだから。

 

 だれよりもたくさんの夢を持っているのは、もう「あなた」だけじゃないから。

 「あなた」と一緒に同じ夢を見ている歩夢も、私たちと同じたくさんの夢を背負ってステージに立っているから。

 

 

 そして何より、そんなたくさんの夢を背負って、叶うためにどんなことだってしてしまうぐらいの意志を見せた歩夢が、「時間を巻き戻してでも未来を変えたい」意志が込められた『Break The System』を披露した歩夢が、

 

これが僕らのストーリー

ココロの準備はできていますか?!

 

私 この道を

歩いてくって決めたんだ もっとこの

ときめき 大事にしたいから

 

 

 やり直したり、否定せずに選んだ未来への道が、今私たちが生きているイマだからでです。

 

 

あとがき

 歩夢推しになってから3回目の誕生日を迎えました。

 

 

 シリーズを好きになってもう9年になるんですけど、未だに昔の曲が自分の中で一気に大切になることってあったりするんですよね。

 例えば、サンシャイン!!で一番好きな曲が今まで『未来の僕らは知ってるよ』だったんですけど、作品が増えていって、なぜか好きなキャラクターが作曲担当に偏っていく中で、「ラブライブ!において「曲を作る」ということはどういうことなんだろう?」みたいなことを考えるようになって。

 そんな中で、真姫、梨子、侑、「あなた」、ミア、かのん、恋それぞれの曲の作り方の違いみたいなものに注目していくと、いちばん「梨子らしい」のって『Brightest Melody』なんじゃないかって思うようになったんですよね。

 そんな中で、東京ドームでオーケストラでそれが披露されたら、まあ一番好きになりますよねって。

 

 

 曲が歌うたびに生まれ変わるみたいなことって、本当にたくさんあるんですよね。

 最近だと『私のSymphony』とか。

 

 ライブって、曲だけじゃライブにならないんですよね。

 曲があって、それを歌う人がいて、そのライブを用意する人、応援する人がいて、そのライブをする理由があって、そのライブによって生まれた感情があって。

 

 だから、同じ曲なのに全然違う側面を見せてくれたりとか、全然違う曲に聴こえたり、全然違う意味合いになったりすることが起きることって、よくよく考えれば当然の事で。

 

 

 私が歩夢のことが好きな理由って、端的に言えば歩夢が私のことを好きだからです。上原歩夢というキャラクターが、どうしようもないぐらいに主人公を愛していることが大好きなんです。

 

 それをいちばん感じられるからという理由で、最初歩夢の曲でいちばん好きだったのは『開花宣言』でした。

 それから約2年経ってスクスタの29章が公開された日、それは『夢への一歩』に変わりました。

 

 あの日から、およそ1年。『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会UNIT LIVE! ~A・ZU・NA LAGOON~』DAY.2公演から、歩夢のソロ曲で今の私の一番好きな曲は、『Break The System』に変わりました。

 

 

 それはきっと曲そのものが変わったとかそういうことじゃなくて、その曲を歌う歩夢と私たちの関係が一歩先に進んだからなんだと思います。

 それはもちろん、『Break The System』だけじゃなくて、それを獲得するにいたった私たちの思い出たちも同じです。

 

 ちょうど1年前、2月26日と27日に、『Break The System』が初披露された『4th Live! ~Love the Life We Live~』が開催されました。

 28日に大阪を夜行バスで発って、翌日の歩夢誕にはお台場でライブの事を振り返りながら、歩夢と一緒に育った町の明かりに浸っていたのを覚えています。

 

 楽しかった校内フィルムフェスティバルと、そこで産まれた『Break The System』。その思い出は1年経って、最高だと思ったあの日以上に、今の自分にとってかけがえのない大切なものになっています。

 

 

 こうやって、一緒に一歩ずつ夢に向かって進んでいって、すこしずつ関係性は変化していくけれど、そうした関係性を構築し続けること自体はずっと変わらない。

 歩夢のことが大好きで、歩夢は私のことが大好きで、ずっと未来も、虹ヶ咲を卒業した将来も、ずっとずっと一番隣を歩き続けていく。

 

 

 そんな歩夢と一緒に、虹ヶ咲のみんなで、ラブライブ!シリーズのみんなで叶える物語を叶えていくことが、これからもずっと大好きです。

*1:「アウェイキングプロミス」「エイエいくさサー」と読んだりんかるは反省しなさい。

*2:たぶん、これは『エイエ戦サー』みたいなしずくの想いだって背負っているんだと思います。でも、私がそれに気づいたのが『CHASE!』だったので、今回はこの曲に絞って書いています。