#てつがくのドンカラス

それでは皆さん元気よく!不意打ち追い討ち?桜内!得意な技は?タイプ不一致!

これから先もずっとステージを照らしていますように

 1stライブのことを思い出していました。

 

 歩夢推しの私としてはすごく複雑な思い出でした。

 歩夢が虹ヶ咲の代表であることは、やっぱり自分にとっては特別なことなんです。

 

 ライブのヘッドライナーがせつ菜だったから、1stのブレードのシルエットイラストの中心にいるのは歩夢じゃなくてせつ菜であることとか。

 アンコールに誰が立つかの投票でせつ菜/かすみに敗れたのは自分のせいだと責める大西さんの姿とか。

 

 それは歩夢の「あなた」としての自分を作っているものであると同時に、自分が傷ついた思い出であることも確かなんですよね。

 

 

 

 あのライブは、たくさんの願いが集まっていたライブだったと思います。

 

 悔しい思いをした歩夢は、「いつか素敵なスクールアイドルになる日まで見守っていて欲しい」という想いで『開花宣言』を披露しました。

 あの『開花宣言』は、花開いた歩夢のステージではなく、歩夢がいつか花開く日が来る事を願う歌だったと思います。

 

 今回は、そんなライブで虹ヶ咲の代表として立ったせつ菜によって披露された「強く願い込めた歌」である『MELODY』に込められた願いのお話をしたいと思います。

 

 

 誰かにまっすぐ気持ちを伝えるのって、大切な事なのに難しいことなんです。

 

 心が見えなくて分からないからこそ、そんな見えないものを伝えるために、人は言葉を紡ぎ歌を歌うんだと思います。

 

 

 

 

 ラブライブ!シリーズのなかで、それはずっとずっと描かれてきたテーマだと思います。

 伝えようとしなければ伝わらないのに、伝えなかったからこそ躓いた子たちの物語を何度も見てきました。

 素直にならなきゃ伝えようとする心にすら嘘をついてしまうことになるのに、心に蓋をして自分の気持ちを殺してしまおうとした人を見ていると、いつも胸が張り裂けそうになってしまって。

 

 

 それぐらい難しくて、それぐらい大切なことなんです。

 「想いを伝える」という、一言で言い表せてしまうようなことって、それぐらい重たくて、途方もないことでもあるんです。

 

 

 

 「優木せつ菜」が生まれたのは、中川菜々の大好きを守るためでした。

 大切な人に自分の大好きを打ち明けることができなかった菜々が、菜々ではない別人として大好きなものを守るために産み出したのが「せつ菜」でした。

 

 

 生徒会に所属する事で長時間の外出の名目を作り、そして「優木せつ菜」と名前を変え別人として活動していたんですね。

 

 

 でもそれって、ただの逃げでしかなくて。

 キズナエピソードでは、せつ菜が今まで自分の持っている大好きな気持ちを両親に明かしたことはなかったのだと判明します。

 



 だから、せつ菜は大切なものを両親から隠すのではなく、大切なものを両親に伝える決意をしました。そうして産まれた曲が『MELODY』だったのです。

 

 

 また、アニメの方でもそうした物語の軸は変わっていません。

 

 

 『CHASE!』と『DIVE!』に加えて2期で『MELODY』を獲得するまでに、母親や全校生徒に自分がスクールアイドルである事を明かす描写がありました。

 

 

 自分の気持ちを隠さずにまっすぐ相手に伝えること。

 それは本当に難しい事です。

 

 でも、だからこそ優木せつ菜は歌うんです。

 

 

大好きなことを、まっすぐ大好きって言って、それが心からの言葉なんだってわかるくらいの愛情とか情熱をいろんな感情を、まっすぐ私たちに向けてくれるのって本当にすごいと思う

 

私はそんなせつ菜ちゃんの力に圧倒されているよ。

そういうことをご両親にも伝えてみようよ。

それでせつ菜ちゃんの大好きって気持ちをわかってもらおう

 

 

いつだって前向きでどんなことにも

立ち向かっていくのが私の知ってるせつ菜ちゃんだよ

 

優木せつ菜 キズナエピソード 『10話 本心に触れる夜』



 だって、優木せつ菜は大好きを守るために生まれたから。だから、大好きをまっすぐ伝えるためにステージに立つ。それが、スクールアイドル「優木せつ菜」なんです。

 

本当に凄いと思ったよ!

自分の気持ちをあんなにまっすぐ伝えられるなんて。

スクールアイドルって、本当に凄い!

私もあんな風に出来たら、なんて素敵だろう!って。

 

アニメ1期1話『はじまりのトキメキ』

 

 アニメの1話で歩夢が憧れたのも、そういう部分でしたね。

 

 

 そして、「優木せつ菜」は、そんな大切な人に自分の大好きを伝えるための歌を、なぜステージの上で披露するのでしょう?

 大切な人に届けばそれでいいんじゃないかって思いますよね?

 ステージの上から両親に訴えかけて、大好きな想いを伝えて。

 

 それでこの曲の役割は終わりなんじゃないかって、もしかしたらそう思う人もいるかもしれません。

 

 

 でも、違うんです。

 だって、優木せつ菜はスクールアイドルだから。「大好きな気持ち」の事が大好きなスクールアイドルだから。

 「大好きで溢れる世界」を実現するという野望を叶えるために歌うのが優木せつ菜だから。

 

大好きを叫ぶために世界を変える―――それが私の革命

 

みんなには好きなものがありますか?

もしあるならば、胸を張って、好きなものを大好きだと言えますか?

言えないのなら、そんな世界は私と変えてしまいましょう!

私は、みんなと一緒に作りたいですっ!

誰もが大好きを素直に伝えられるような世界を!!

いいんです、好きなものを大好きといって。それは恥ずかしいことでも、馬鹿にされるようなことでもないのですから。

まずは私がFirst Liveで証明してみせましょう。

ステージから、みんなに届けてみせます。私の”大好き”を。

もし私の大好きが伝わったら、心の中でもいいから叫んでみてください。あなたの大好きを。

あ~っ!もう、今からステージが楽しみで仕方がありません‼

 

FIRST LIVE with You パンフレット

 

 だから優木せつ菜は、ステージの上で『MELODY』を歌い続けるんです。

 

 大好きを自由に叫べる世界を作るために、世界に向けてずっとずっと大好きを叫び続けるその姿は、どれだけの人を勇気づけてきたでしょう?

 どれだけの人が、その言葉に救われてきたでしょう?

 

 そして、これから先もこの曲と、この曲を歌うせつ菜の叫びは、きっとまだまだたくさんの人に届いて、その背中を押すものになっていくんです。

 

 そして、そんな勇気のバトンが世界中に広がっていって欲しい。そうやって、すこしずつ、大好きで溢れる世界に近付いていって欲しい。

 そういう願いが込められているのが『MELODY』なんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その『MELODY』が初披露され、そして唯一のフルとなったFirst Live。

 あの日の『MELODY』は、今でも強烈に私の胸で存在感を放ち続けています。

 

 

 それは、まるで叫びながら泣いているようでした。楠木さんの吐息のリズムがはっきりと分かるぐらいに、その息遣いを近くに感じていました。

 嗚咽が漏れているみたいに震える歌声に、聴いているこちらのこころまで揺さぶられて、それが空気を切り裂く悲鳴みたいにグサグサと突き刺さってきて。

 

 それは、本当に戦いでした。

 世界中に大好きを届けるために、壮絶な戦いを繰り広げている姿がそこにはありました。

 

 

 あなたは見たことがありますか?

 万全の状態で立っているのにも関わらず、歌い終えるまで一瞬たりとも目が笑っていないスクールアイドルを見たことがありますか?

 客席の方は見るけれど、客席にいる私たちと一度も目が合わないスクールアイドルを見たことがありますか?

 

 スタンドマイクを両手で持って、まっすぐ前方向だけを見て、そうやって震えて突き刺さるような歌声を響かせ続けて。

 長い髪を振り乱し、身体を前に倒しながら魂を込めて絶叫するその姿は、まるで修羅のようでした。

 

 声が出ませんでした。圧倒されていました。

 同時に、ちょっとだけ恐ろしさも感じました。

 

 優木せつ菜は、楠木ともりは、大好きで溢れる世界を作るために、誰かの大好きを守るために、こんなにも必死に戦い続けているんだということが、本当に切実にこころに刻み付けられて。

 

 その目の孤独さの奥には、どんな世界が映っているんだろう。どんな濁った世界を相手に、優木せつ菜と楠木ともりは立ち向かっているんだろうって思うと、正直怖かったです。近寄りがたいって思ったんです。

 それでも、そんな孤独な彼女に寄り添って、味方になってあげられるのって、「あなた」である私たちしかいないんだって、私たちも一緒に「大好きで溢れる世界」を作るために戦わなきゃいけないんだって、そう思う気持ちも一層強くなったと思います。

 

 

いつもだったらせつ菜の話をするんですが、今日はヘッドライナーとしての話をさせて頂きます。

 

スクスタでせつ菜を演じてて実はすごく辛かったんです。

大好きを否定されることってすごく辛いことだと思うんですよ。

認めてもらえなかったり、それを隠さないといけないって、すごく苦しいことだと思うんですよ。

でもそんな彼女だからこそ、「大好きを世界中に溢れされたい」ってまっすぐな目標を立てられたんだと思います。

 

前回のイベントで全然踊れなかった、歌えなかった私がなんで選ばれたんだろうって考えました。

そうじゃなくてたぶん、ここにいる全員に「虹ヶ咲大好き」って思ってもらうために任されたんじゃないかなって思いました。

 

アンコールの曲を決めるときもそうだったけど、虹ヶ咲はソロだから、みんなと争ったり誰か一人を選ばないといけない事がこれからも何度もあると思うし、それがいいことなのか辛いことなのか私には正直分かんないけど、他人の大好きを大切にしながら自分の大好きを大切にする。

そんな空気を虹ヶ咲から作っていけたら、それってきっとせつ菜の野望に近付くんじゃないかなと思います。

 

今日みんなは、自分の大好きの気持ちに素直になれましたか?

今まで、他の人の大好きの気持ちを、大切にしてあげられましたか?

 

きっと虹ヶ咲を愛してくれるみなさんならせつ菜の野望を叶えてくれるんじゃないかと信じてます

みなさん、約束してください!

 

 MCでの楠木さんのこの言葉だけを知っている人も、多いんじゃないかなって思います。

 決して、名言として消費されちゃいけないと思います。

 だからこそ、あえてここでは、優木せつ菜と楠木ともりがそういう想いでステージに立っていたこと、それ以上のことは書きません。

 

 分かった気になっちゃいけないんです。大好きを大切にするっていうのがどういうことなのかとか、他の人の大好きを大切にすることってどういうことなのかとか。

 そういう答えって、他人の発言で分かった気になって、愉快なコンテンツの素晴らしいエンターテイメントとして消費されるだけのものであっていいはずがないんです。

 

 だから、もし優木せつ菜と楠木ともりの想いに触れたいなら、彼女の語る「大好き」を大切にしたいと本気で思うなら、自分でスクスタをプレイして、アニメを見て、ライブ映像を見て、自分で悩んで答えを出すしかないんです。

 伝えようとしている人に直接向き合ってもいない人に、人のこころなんて分かるはずがありません。だから、伝えようとすることと受け取ろうとすることが大切なんです。

 

 

 でも、それに触れなかったとしても、あの『MELODY』は「大好きで溢れる世界」を作るため、そして、大好きな気持ちを持っている誰かのために、それをさせてくれない世界に真っ向から戦いを挑む曲だったこと、そして、そんな願いを込めて歌うスクールアイドル「優木せつ菜」があの日ステージに立っていたことは、絶対に色褪せずにずっと歴史に刻まれづける確かなことなんです。

 

 あの日、野望を叶えるのためせつ菜はステージに立っていました。

 そして、あの日歌った願いを、優木せつ菜と楠木ともりは何度も何度も歌い続けました。

 

 3rdライブで、カウントダウンライブで。そして、5thライブでも。

 強く願い込めた歌『MELODY』は歌い続けられました。

 

 全部全部、戦いだったと思います。

 1stと同じぐらい震える声で、大好きを叫び続け立ち向かっていたと思います。

 

 

 ただ、最後に披露された『MELODY』、5thライブの『MELODY』だけは、そんな彼女の必死さや殺気立ったようなオーラよりも、今目の前にあるこの世界に対する「大好き」な気持ちの方を強く感じました。

 

 目線の向きがいちばん最初に見たときと全然違いました。

 あんなに客席にむかって笑顔を見せて、あんなに楽しそうに、あんなに愛おしそうに歌うステージは、それまで1回もありませんでした。

 

 歌っている時の目線はいつもなら手元のマイクを見ているかまっすぐ前を見ていたはずだったのに、5thだけは私たちの方を見ながら歌っていたんです。

 目が笑っていないとか、突き刺さるような鋭さとか、これまで放っていたそういった少し敬遠してしまうような凄みのあるオーラがなくなっていて、純粋な「大好き」という気持ちだけが詰まっているような、今までと比べて異質で、それでいて特別なパフォーマンスでした。

 

 

 楠木さん本人も言及されているように、5thライブの基盤となったアニメでの『MELODY』は、スクスタでの初披露よりも少しだけ野望に近付いた先で披露されることとなりました

 大好きなものを大切にしたいという彼女の想いが少しずつ浸透し、せつ菜自信も両親と向き合うことができて、ちょっとだけ「大好きで溢れる世界」に近付いた、そんなときに披露された曲でした。

 

 

 そして、私たちと楠木ともりが生きるこの世界も、あのFirst Liveから5thまでの間で、ちょっとだけそんな世界に近付いたはずです。いや、「大好きで溢れる世界」に一歩近づいたんです。

 

 優木せつ菜がステージに立って、楠木ともりがステージに立って、ステージで叫んだ想いや紡いだ言葉、そして、強く願いを込めた歌と、そのステージを一緒に作り上げた私たちがこの世界をちょっとだけせつ菜の野望に近づけたんです。

 

 だからこそ、5thライブで優木せつ菜と楠木ともりの目に映っていた景色、虹ヶ咲のことが大好きな人たちがいた景色は、絶対に「大好きで溢れる」世界を作るために必要な、優木せつ菜と楠木ともりにとって「大好き」だって思えるものだったはずなんです。

 

 

 あの5thライブを、虹ヶ咲の「あなた」として、優木せつ菜と、楠木ともりと一緒に作り上げた私が、共に「大好きで溢れる世界」を作る者として責任を持って書き記しておきます。

 

 あの日、優木せつ菜は笑っていたんです。

 『MELODY』で、楠木ともりは笑っていたんです。

 優木せつ菜の「大好き」と楠木ともりの「大好き」は、間違いなくこの世界を野望に近付けていたんです。

 

 それはきっと、あの瞬間だけのことではないはずです。

 優木せつ菜と楠木ともりの願いは、今日も『MELODY』に乗せて世界の誰かが大好きを叫ぶ背中を押しているはずです。

 そして、『MELODY』に背中を押されて大好きをまっすぐに伝えようとする誰かの姿は、また他の誰かの背中を押して、いつかそれは世界中に広がっていくはずなんです。

 

 そうして「大好き」のバトンが繋がっていく世界の最前線で、きっと今も優木せつ菜は誰よりも大きな声で「大好き」を叫び続けています。

 だって、「大好きで溢れる世界」って、本当に途方もない野望で、現実的に見たら叶わないものだから。それでも、野望に近付くためには、ただひたすらに叫び続けるしかないから。それが、「優木せつ菜」だから。

 

 

 

 これから先も、「優木せつ菜」がスクールアイドルである限り、彼女は「大好き」を叫び続けます。大切な人に気持ちを届けるために歌い続けます。

 

 だからどうか、せつ菜の目に映る世界が、もっともっと素敵で輝いている世界に変わって行きますように。せつ菜の『MELODY』が、大切な「あなた」のこころに、たとえ時間や空間を超えたとしても、心の奥まで届きますように。

 

 優木せつ菜と楠木ともりの「大好き」が、「あなた」の中でずっと輝いていますように。