#てつがくのドンカラス

それでは皆さん元気よく!不意打ち追い討ち?桜内!得意な技は?タイプ不一致!

私を叶える物語の叶え方

 衝動的に筆を執りました。

 

 

 

 流石に1時間に1ツイート流れてきたらやる気出るよね。分かる。

 

 というわけで、構成も組んでないし校正もしてません。ごめんね。よろしくお願いします。

 

 

 

 ラブライブ!シリーズって、夢を追いかけることや生きることに対して視聴者に対して何らかのメッセージを投げかけてくる作品で、それはスーパースター!!も例外ではないと思います。

 

 むしろ、一般公募オーディションという、私たちファンの側にラブライブ!の作品側が門を開いていることからも、いちばんそういう要素が強いんじゃないかなって思います。

 

 今回のタグ企画を立案した人がラブライブ!スーパースター!!のアニメや3rdライブに感銘を受け、自分自身の「私を叶える物語」を叶えてから4thライブに戻ってきた*1ように、視聴者に対して「何かを成し遂げたい」と思わせるような動機付けとなる力を持っていることは、いろんな人が思っているような気がします。

 

 

 

 とはいえ、誰しもが未来のビジョンと直結するような分かりやすい「夢」があるなんてことはなくて、葉月恋役の青山なぎささんが2nd横浜で「Liella!に会うことを夢にしてもいい」と言っていたように、受け取り手の人生に多少なりともスクールアイドルの存在が存在感を与えてくれているだけで、この作品の作り手の目標は達成されているんじゃないかなって思っています。

 

 

 

 

 さて、そんな夢の形は人それぞれで、絶対的な枠組みや明確な定義があるわけじゃないし、それを叶えることだけに価値があるわけじゃないと思うけど、それでも、ある程度共通して言えることはあると思います。

 

 辞書を作りたいわけじゃないので、例外もあることを理解したうえでアバウトな表現を使うんですけど、「どうやって叶えるのか」とか、「叶えようとしたらどうなるの?」とか、「叶えるためには何が必要?」とか。

 

 

 

 それ自体は他シリーズでも描かれていることで、前に記事にしたことがあるので、今回は本当に軽くしか触れないんですけど、スーパースター!!の特徴的な点は、作品の影響力と作品内での描写のされ方が直結していることだと思うんですよね。

 

 

 2期終了後に、いろんなオタクの御意見や御気持ちがあったと思うんですけど、その是非とかは置いておいて、否定的な意見の内容を一般化してみると、「テーマがよく分からない」とか「尺が足りてない」とか「恋が要らない」とか「かのんしか喋ってない」みたいなのが多かったと思います。

 肯定的な意見を見てみると、それらの意見の「分からない」ポイントに対して根拠となりえる描写を拾っているものが多いような。

 

 

 で、これって作り手の想定通りだと思うんですよね。

 たぶん、反感を買うことを前提に、なんなら、アンチがいることを舞台装置となるようにアニメを作ってると思います。

 そう思う根拠は挙げればキリがないんですけど、一番はやっぱり、1期と2期で心情描写の軸が変わっていることだと思うんです。

 

 

 1期ではなんやかんやかのんが決定権を持っていましたが、2期からは部の最終決定権は、部長となった千砂都に移りました。

 その結果として、かのんが話す内容が明確に変化しています。

 1期では、部の向かう方向性は、主人公であるかのんの口から語られました。

 ここで語られていたのは、「決断の内容」と「根拠となる『歌に込める想い』」であり、そして、その『歌に込める想い』はこの作品のテーマと直結するものでした。

 

 

そっか、こういうことなんだ。

ちぃちゃん、私悔しい。

せっかくみんなが協力してくれたのに、なにもお返しできなかった

みんなが協力してくれたのに、なにも返せずおしまいになっちゃった。

 

勝ちたい。

私、勝ちたい。勝ってここにいるみんなを笑顔にしたい。

「やった!」って、みんなで喜びたい。

私たちの歌で、みんなの歌でLiella!の歌で、結ヶ丘の歌で優勝したい!

 

いや……優勝しよう!

 

結ヶ丘女子高等学校Liella!、これからもっとたくさんの人に歌を届けよう!

 

1期12話『Song for All』より引用

 

 目的決断方法まで、すべてかのんの発言の中に盛り込まれていますね。

 

 

 しかし2期では、その役割は部長である千砂都に移っています。

 

私、やっぱりかのんちゃんに留学してほしい。

 

かのんちゃんは、みんなを元気にできる、みんなに勇気を与えられる、Liella!でいちばんのスーパースター。それって、才能だと思う。

 

だから、その声をもっと遠くまで、もっともっと遠くまで響かせてほしい。

 

2期12話『私を叶える物語』より引用

 

 しかし、このシーンはそうであったとしても、そもそも嵐千砂都というキャラクターが、発言よりも行動によっての描写が中心となるキャラクターであるため、実際の決断に関して、ここまでわかりやすく説明されるシーンは1期と比較して少なくなっています。

 

 

 また、2期10話『渋谷に響く歌』では、「本当の歌」とは具体的になにかについて、

 

一生懸命がんばって、みんなに応援してもらえて

みんなと一緒に成長できる。

スクールアイドルって、本当に素敵だと思う。

すっごく楽しくて、すっごく大変で

でも、ここにしかない喜びがあって、

その気持ちが歌になって溢れる。

Liella!って、思えばずっとそうだったよね。

 

それが、私たちにとっての本当の歌なんじゃないかな。

 

2期10話『渋谷に響く歌』より引用

 

 と、全員での発言がありますが、1期の描写と比較して、描きたいテーマにダイレクトで繋がるもの、もしくはこれがこの作品のテーマであるとして一部分を切り抜いて提示できるほどわかりやすい描写ではないように思えます。

 

 しかし、直接の導線は1期よりは見えづらくなっているとはいえ、ここで語られた内容はすべて作中にそれに相当する描写が存在します。

 そして、もちろんそれらの描写と、作中でのLiella!の獲得したものが繋がれば、明言されなくても作品のテーマ≒メッセージは分かりやすく受け取ることができるようになっています。

 

 ……文字だと分かりづらいので図にしてみましょう。

 

 

 

 1期は、ひとつの描写の中で作品のテーマと直結する感情や、そこから生まれた目的、そして、それを実現するためにこれから何をしていくのかが纏まっており、さらにはそれらがすべて分かりやすく言語化されていることが分かります。

 

 8話『結ばれる想い』は例外としても、1期は最終的な着地点が曲にあるのではなく、曲が通過点だったり、曲の前にエピソード自体が完結していたりして、音楽ではなく言葉でシナリオが進行していく傾向があります。

 

 

 それに対して2期は、かつて花田十輝先生が「曲は必殺技」とコメントしているように、最終的な着地点が言葉ではなく曲になっています。

 さらには3話『優勝候補』のように、曲の内容がストーリーに絡まない場合はそもそも描写すらされません。

 

 また、このように、テーマを曲に託しきってしまうことによって、1期のようにかのんがすべてを言葉にして纏めてしまうようなシーンが入らず、結果として連続性のあるシーンの繋がりを読み解かないとそれぞれのシーンの意味に辿り着きづらくなっています。*2

 

 

 このように見てくると、2期の描写は、視聴者に1期よりも高いレベルでの読解力を求めるものであることが分かり、なおかつ、その表現の構造から変化していることから、意図してそうしたレベルアップが為されていることが分かります。

 

 

 

 

 私が、2期4話『科学室のふたり』で千砂都が部長となってから、2期7話『UR葉月恋』までの描写を見ていく中で気づいたのは、この視聴者への要求値の上昇が、ラブライブ!スーパースター!!という作品の想定しているであろうファン層が「私を叶えようとしている」人間であるということでした。

 

 葉月恋というキャラクターが上級者向けのキャラクターであり、これから私を叶える物語を始める他キャストとは異なり、既にそうした経験を積んできている人が演じている事は、過去記事で言及していますが、7話においてそうしたキャラクターと他8人の距離が縮まったことにより、

 

葉月恋=ラブライブ!履修済み=最強

 

 であり、その最強たる所以である「微熱」を理解していない人にとっては、よく分からないキャラだと思われる、つまり嫌われるという図式が否定され、そうした「微熱」というよく分からないもの、ラブライブ!2週目のよく分からない人が、愛される身近な人になる、つまり

 

ラブライブ!履修済み=最強=「私たち」と同じ目線である

 

 という図式が成り立つことになります。

 

 

 

 比較的「夢をみるとはどういうことか」が分かりやすく描かれ、アニメでも楽曲でもライブでも、それぞれの「私を叶える物語」として、なんらかの”夢”を見ようと唱えられ続けて来たような、「夢をこれから見る人」に視点を合わせて描かれたアニメ1期。

 

 

 それに対して2期は「『1期で夢を貰って頑張ってきた人』に視点が合わせられている」と言えそうです。

 

 

 

 また、1期から夢を貰った人は、その夢をくれた大切な作品を宝物のように思い、何度も何度も繰り返し見る人が多いと思うんですけど、それは結果として作品の読解力の向上に繋がります。

 当たり前ですが、アニメを1回しか見ていないよりも、100回見た方が解像度は上がります。

 

 さらに言えば、例え小さくても何らかの夢を追いかけた経験があるのかないのかで、そもそも見える世界が違うんですよね。

 自分の経験とか、価値観とか、世界の認識手段とか、そういったものは何かを目指して努力をする中で必ず培われるもので、それはどんな小さな夢だって同じです。

 

 何かを成し遂げて夢を叶える道のりが如何に大変かなんて、アニメだけ見て分かった気になれる物じゃなくて、自分自身で経験しなければ分からないことなんですよね。

 結構言われる、「2期生が1期生に追いついていないって話」とかがすごく顕著で、それなりに何かを努力した経験は、それを一朝一夕で覆すことはできないという知識名なります。解像度が上がるんですよね。

 

 

 「Liella!と会うことが夢」だったとしてもそれは同じです。何も目的も夢も趣味もなく、ただただ生命活動をするために生きるだけの毎日と、「Liella!と会うために」生きる毎日では、世界の認識が違うはずです。

 

 ただ生きているだけなら、風邪ひいたり栄養不足だったりしたら苦しいだけで問題なんてないはずです。でも、倒れたらLiella!と会えないんですよ。だったら、健康に気を使いますよね。

 そうしたら、200円のカップヌードル松屋の600円の定食は全く違って見えてくるはずです。

 

 それって、物事から受け取る情報量とか、情報同士の繋がりが見えるってことになりませんか?世界の見え方が変わるってことになりませんか?

 

 Liella!が夢を追いかけている姿を見ていたら、これまで気にも留めなかった、夢を追いかけているいろんな人たちの姿とか、一生懸命さやひたむきな情熱が、無視できないものになって、少しだけ、素敵だなって思えるようになったりとか。

 

 

 

 それがきっと、私たちファンの「私を叶える物語」だと思うんですよね。

 

 そして、そうやって「私を叶える」ために、1期と2期の間を生きてきた人たちにとって、今まで気にも留めなかったワンシーンが大切なものになったり、そんな大切なワンシーンが大切なイベントに繋がって行ったりとか、そうやって”1期から成長して分かるようになった”人に視点が合わせられているのが、2期の物語。

 たぶん、そんなに間違ったことは言ってないと思うんですよね。

 

 自分が1期で1番好きな8話『結ばれる想い』も、どちらかというとそっち寄りなんですけど、焦点が当たっているのが葉月恋なのもあって、きっと今までラブライブ!シリーズを通して「私を叶える物語」に相当するものを自分自身の経験として持っているから好きなんだと思いますし、そんな人たちに視点が合わさっているのが恋なんだと思います。

 

 

 で、逆説的に言えば、視野を広げることって私を叶えることに繋がると思うんですよね。

 というか、自分自身が今重きを置いているのがどちらかというとこちら側なんですよね。

 「私を叶えようとする」人たちの物語に寄り添って、その想いに触れて、それが自分自身の経験として語れるようにするために、自分自身の視点としてトレースできるようにがんばる。

 

 それって、一番わかりやすくて、一番簡単で、一番楽しい「私」の叶え方だと思うんですよね。

 

 

 この時みんなは何を思っていたんだろう、どういう気持ちだったんだろう、って自分自身の経験や感覚、感性といった知覚に関するすべてが”追いこす”ことはできなくても”追いつく”ことができるように頑張る。

 

 大層な言葉を使って身構えさせたくはないんですけど、ラブライブ!を研究すること、マイルドな表現にするなら、自由研究でラブライブ!をテーマにすること。

 

 

 それこそが、私たちにとっての「私を叶える物語」であり、そして、アニメ2期やそれ以降に描かれる物語を受け取っていくのに際して重要なキーだと思うんですよね。

 

 

 そして、今回の4thライブって、それにうってつけのライブだと思うんです。

 

 

 

 

 だって、ユニットアルバム全部難しくないですか????

 

 

 

 これどういう曲なの?

 どういう心情が込められてるの?

 歌詞難しくない???

 

 これどういう状況の誰に向けた曲なの?

 火薬の匂いってなに?????

 

 

 ベロアって歌詞ちゃんと読まないと頭入ってこなくない?

 不可視なブルーってどんな色????

 

 なんでラズベリーが踊ってるの????

 キミとミントキャンディー????

 

 

 

 

 まあ、初見で聴いて「全部分かった」とはならないと思います。だってあの黒鷺さんが難しいって言ってるんだよ?聴きこむことが前提になっていると思いますし、なんならライブを通してなんとなく掴んでいくような、そういう曲たちになっていると思います。

 

 

 でも、だからこそ、今までの描写とか、これからのライブとか、そういったヒントになり得るようなものをかき集めて、

「めっちゃわかる!」

「共感できる!」

という形で、「めっちゃいいよね!」って言えた時、それって「私を叶える」ことに一歩近づいているんじゃないかなって思います。

 

 そして、すこしだけ曲に対する解像度が上がった時、同時にこの世界に対する見え方もちょっとだけ変わっていて、それってすごく素敵なことなんだと思うんですよね。

 

 桜の花を見て、「あ、桜だ」で終わるより、「綺麗だな」って思える方が素敵な見え方をしていると思えるみたいな、そういうのって、人生の中でも、オタクをやる中でも大切なものだと思うし、結局こうやって推しのこと考えてる時が、生きてていちばん楽しいんですよね。

 

 

 

 そういう「世界が少しだけ素敵に見える」私を叶えるために。

 

 

 

 私の夢は、Liella!に会うことです!!!!

 

 4thライブ楽しむぞ~!!!!!!

 

 

 

 

 そのためにしっかりお金稼いで当日券取らなきゃ……。頑張って働こ……。

 

 

 

参考文献

ラブライブ!スーパースター‼︎2期を自分なりに噛み砕いていく〜自分にしかできない見方を〜 - よしのきららのブログ

スパスタ2期の見方 - ねっちりとした今日までの時間

ラブライブ!スーパースター!!2期は何がいけなかったのか|ええ

 

掲載許可をくださったみなさん、ありがとうございました。掲載のお話をしてから遅くなってしまい、申し訳ございません。

*1:でも毎週のように家に泊まりに来てたなこいつ……。

*2:とはいえ、これは2期が分かりづらいのではなく、1期が意図して過剰なまでに分かりやすく作られているのだと思います。