#てつがくのドンカラス

それでは皆さん元気よく!不意打ち追い討ち?桜内!得意な技は?タイプ不一致!

なぜ桜内梨子の音楽は美しいのか 前編『Brightest Melody』

 別に意図したわけではないけれど、そういう企画があったのでそれに合わせました。

 

 

 

 ラブライブ!シリーズには、音楽を担当するキャラクターが毎回登場してきました。

 無印では西木野真姫

 虹ヶ咲では「あなた」、高咲侑、ミア・テイラー。

 スーパースター!!では葉月恋、米女メイ。

 蓮の空では(確定ではないがほぼ)乙宗梢。

 

 それぞれのシリーズの曲を手掛けたメンバーの中でも、桜内梨子の曲の作り方は他のシリーズと比べて異端であり、それがそのままAqoursの楽曲となっていると思います。

 

 今回から第3回に分けて、そんな梨子の手掛けた曲に見られる特徴を顕著に表した曲をピックアップし、その魅力に迫っていこうと思います。

 

 第1回目となる今回は、劇場版でラブライブ決勝延長戦で披露された楽曲『Brightest Melody』です。

 

 

梨子の曲の作り方で他シリーズと決定的に違う点

 さて、梨子の曲作りは他シリーズのそれとは決定的に異なっています。

 

 なぜなら、他シリーズでは、歌詞が先にあってそこに曲を付けるといった作り方は一般的ではないからです。

 

 

 

 

 例えば、西木野真姫

 『START:DASH‼』こそ歌詞先であったものの、それ以外の描写は違います。

 

 2期2話『優勝を目指して』では、歌詞、衣装、曲が同時進行で制作されていました。

 また、劇場版では、『僕たちはひとつの光』は、海未の書き溜めた歌詞と、真姫が勝手に自分のけじめとして作った曲を合わせることによって産まれました。

 これらはアニメ、スクスタに共通して、『曲はいつでもみんなのために』という理念が根幹にあります。

 スクスタではメインストーリー6章『勝負の行方』7章『TOKIMEKI Runners』でさらにそこが深堀され、真姫がその曲を歌う人たちと一緒に、その人たちがどんなふうに歌うのかに想いを馳せながら曲を作っている様子が描かれています。

 

 そして、アニメ2期12話『最高のラストライブ!』では、高坂穂乃果はこう述べています。

 

だって本当に無いんだもん。

もう全部伝わってる。もう気持ちは一つだよ。

もうみんな、感じていることも、考えていることもおんなじ……そうでしょ?」

 

 このことから、真姫はμ’sの全員と感覚を共有しており、その結果「そもそも感じていることが一緒」だから歌詞や衣装と同時進行することができるという事ができます。

 実際、『SUNNY DAY SONG』の制作過程では、スクールアイドルみんなに歌わせながら曲を作っている様子が描かれていました。

 

 

 そして、スクスタで真姫と作曲勝負に負けた「あなた」も、同じ形式で曲を作っています。

 「あなた」は真姫に敗北する事で自分の曲の作り方を見つめなおし、自分の曲作りは大好きなスクールアイドルと一緒にその大好きな想いのままに走っていくためだと気づくことができました。

 そして、辿ってきた道は違えど、奇しくも2期8話『虹が始まる場所』で同じ『TOKIMEKI Runners』を獲得した高咲侑も、自分は全力で自分を表現するスクールアイドルにたいしてトキメキを感じていたことに気づくことができました。

 

 このように、「あなた」や侑の曲作りのスタート地点は、西木野真姫に近いものであると言えます。

 そして、スクールアイドルがライブをするように、自分自身のトキメキを共有し表現する手段が曲作りである「あなた」や侑は、基本的に曲を作ってから歌詞を付けることが多いです。

 例えば、上原歩夢のキズナエピソードでは、『Say Good-Bye 涙』『Break The System』はあなたが作った曲に歩夢が歌詞を付ける形で作られたことが描かれています。

 

 

 スーパースター!!に関しては、いろいろな作曲方法が描かれてきました。

 クーカーの『Tiny Stars』は、可可の書いた歌詞に、かのんが曲を付けた形でした。1期9話『君たちの名は?』では、(おそらく)『ノンフィクション』の制作過程が描かれましたが、それらは歌詞が先にあって後から曲を付ける形でした。

 

 しかし、ウィーン・マルガレーテとの決戦の東京予選で披露した『Sing! Shine! Smile!』の制作過程、Liella!の「ほんとうの歌」の作り方は、西木野真姫が「曲はいつでもみんなのために」と『ユメノトビラ』を作った時に近いものでした。

 曲、歌詞、衣装を同時に全員で作り上げていますが、それは音楽によって人と人とが結ばれていることを願う彼女たちの在り方にマッチしたものであるということができます。

 

 

 

 

 このように、ラブライブ!シリーズの作曲キャラは、最終的には、

「想いをメンバーと共有し」

「それをメンバーが歌にする姿を思いながら」

曲を作っていることになり、結果、「歌詞ができるまで曲作りを待つ」という方法を取っていません。

 

 

 

 しかし、梨子だけは違います。

 劇場版の最後に披露された『Next SPARKLING!!』の制作にあたり、歌詞を書いている千歌が「いい曲つけてよ?」と発言しているように、梨子は一貫して歌詞先を貫いています。

 

 

梨子は歌詞を曲にしている。

 以上の事から、梨子の曲はラブライブ!シリーズで唯一「歌詞先」という特徴を持っている曲であるという事ができます。

 

 従って、次のようにいう事ができます。

 まず、真姫、「あなた」、侑、恋は「みんなと共有した想い・感覚」を曲として表現しています。

 それに対し、梨子が曲にしているのは「歌詞に書いてある内容」そのものです。

 図にすると以下のようになります。

 

 

 

 このことから、梨子の曲は「全員で共有している想い」そのものよりも、むしろ「その想いを言語化した高海千歌」に寄り添ったものであると言えます。

 

 だからこそ、梨子の曲は常に千歌の思想の影響を受けていると言い換えることもできます。

 

 

『Brightest Melody』という千歌から梨子への指示書

 さて、ここで本題の『Brightest Melody』に話を移します。

 

 ここまでで纏めてきたように、梨子の作曲は、千歌の完成版の歌詞が渡されてそれに即した形で行われます。

 

 そんな中で、作曲担当に対して『Brightest Melody』という詩が渡されるとはどういうことでしょうか。

 そう、ラブライブ!優勝グループの作詞担当である高海千歌は、梨子の曲こそが世界で最も美しい旋律であると言っているんですね。だから、そんな梨子の曲でこの『Brightest Melody』を『Brightest Melody』にして欲しい、と。

 

 つまり、桜内梨子の曲そのものが『Brightest Melody』、最も美しい旋律なんですね。Q.E.D. 読んでくださってありがとうございました。

 

 

 

 これで納得する人はそもそもこんな説明なんて必要ないと思うので、もう少し詳しく見ていきましょう。

 

 まず、千歌が『Brightest Melody』と称しているものはどんなものなのでしょうか?

 歌詞を読んでみましょう。

 

 まず冒頭で、それは①「どこにいっても忘れないもの」であることが書かれています。

 

Ah! どこへ行っても忘れないよ Brightest Melody

 

 そして、サビまでは、「どこへいっても忘れない」でいると決意した状況、言い換えれば、忘れてしまう可能性がある状況を具体的に掘り下げていきます。

 

いつまでもここにいたい
みんなの想いは きっとひとつだよ
(ずっと歌おうみんなで!)

だけど先に道がある
いろんなミライ 次のトキメキへと

出会い 別れ 繰り返すってことがわかってきたんだ
でも笑顔でね また会おうと言ってみよう
ココロから、ね!

 

 『Brightest Melody』と呼ばれるものを忘れないでいたい状況。

 それは、出合いと別れを繰り返す中で、いつまでもここにいたいと思えるような思いが1つになった時であり、次のトキメキを感じるミライに向かって歩き出すときです。

 

 そして、サビでまた『Brightest Melody』とは何かについて書かれています。

 

キラキラ ひかる夢が 僕らの胸のなかで輝いてた
熱く大きな“キラキラ”
さあ明日に向けて また始めたい
とびっきりの何か? 何かを!
それは…なんだろうね 楽しみなんだ

 

 『Brightest』と題されているように、キラキラしているものはこのタイトルで指示されているものそのものです。

 ひとまず、『Brightest Melody』の説明として、②「夢が放つ熱く大きくキラキラとした光」であり、それは③「また明日何かを始めたいという希望を持たせるもの」であると言えます。

 

 そしてまた、2番では『Brightest Melody』と呼ばれるものに直面する彼女たちの心情描写に移っていきます。

 

大事にねしたいんだ
みんな汗かいて がんばった日々を
(いっぱい練習したね!)

 

やればできる できるんだと
描いたミライ それがイマになった

 

別れ 出会い どちらが最初なのか

わからないままだよ
でも気にしない また会えるねそう思うよ
ココロから、ね!

 

 がむしゃらに頑張ってきた日々を愛おしいと思い、かけがえのない大事なものだと思っていて、出会いと別れの線が引けないけれど、いつか別れが来たとしてもまたどこかで会えるとなんとなく思っていて。

 そんな時に、この『Brightest Melody』が聴こえてくる。『Brightest Melody』と呼ばれるものに直面する。2番の歌詞ではそんなことを言っています。

 

 そして、サビの部分。

 

サラサラ流れる風 僕らを誘ってるの?
向かってみよう 立ちどまらない方がいいね
もう行かなくちゃってさ
キモチがせつない そのせつなさを抱きしめ
いっしょに Brightest Melody

 

 だいぶはっきりしてきました。

 まず、風に誘われ、未来へ向かって歩き出すときに焦点が当てられます。

 そして、そんな④「旅立ちにせつなさを感じるとき、その切なさを抱きしめながらいっしょにかんじるもの」が『Brightest Melody』なのだと書かれています。

 

 

 そしてまた、落ちサビ以降の歌詞では、この『Brightest Melody』の説明として大事な要素が記されています。

 

輝いていたいんだ このまま進もう
Ah! どこへ行っても忘れないよ
Brightest Melody
歌うたびに生まれ変わるみたいで

Ah! いつまでもいたい
みんなの想いは きっとひとつだよ きっと…

 

 『Brightest Melody』とは、⑤「歌うたびに生まれ変わるもの」であることが挙げられます。

 

 

 ここまでを整理すると、『Brightest Melody』とは、

①「どこにいっても忘れないもの」

②「夢が放つ熱く大きくキラキラとした光」

③「また明日何かを始めたいという希望を持たせるもの」

④「旅立ちにせつなさを感じるとき、その切なさを抱きしめながらいっしょにかんじるもの」

⑤「歌うたびに生まれ変わるもの」

であると言うことができます。

 

 つまり、千歌は梨子に対してこの5つの要素を含んだ曲を要求し、それを世界で最も美しい旋律であると称していたことになります。

 

 さて、ここで察しのいい方は気づくかもしれません。

 そう、千歌が梨子に要求したものって、実は「微熱」だと思うんです。

 

 

『Brightest Melody』は微熱の最高傑作である

無印ラブライブ!とサンシャイン!!のほぼすべての楽曲及び、他シリーズの要所で作詞を手掛けていらっしゃる畑亜貴先生が、先生の好きな概念に命名をされたものであり、公用語ではありませんが、ラブライブ!シリーズにおいては頻出する用語だと思います。

結論から書くと、スーパースター!!用語でいえば、「まだ名もないキモチ」の事だと思います。

自分の胸の中に何かよく分からないものがポッと産まれて、それが自分自身の行動に何らかの影響を与えようとしているんじゃないか……と気づき始めた状態、そんな感じの説明が妥当だと思います。

葉月恋は嫌われる人。だから魅力的。 - #てつがくのドンカラス

 

 何故か前回の記事でちょうど微熱について取り上げていたので、それそのものの詳しい説明はそちらの方から引用しておきます。

 

 

 

 まず、分かりやすく②「夢が放つ熱く大きくキラキラとした光」と③「また明日何かを始めたいという希望を持たせるもの」のセットから見てきましょう。

 

 夢という風に言語化されてしまうと、実はそれは微熱ではなく、それが燃え上がった情熱なんじゃないかと思う方がいるかもしれません。

 しかし、その「輝いていた」夢が原動力となったとしても、それはあくまでも「とびっきりのなにか」を想起するだけであり、実はその正体はまだ不明瞭なものとして書かれています。

 自分の中に生まれた気持ちではあるのに、それがまだどんな影響を与えようとしているのか分からない。

 どこへ向かおうとしているのか分からない。でも、まだ正体も分からないその気持ちが導く先に自分は面白そう、とびっきりの何かという素敵な予感を抱いている。

 そういう風に考えたら、これって微熱って言えるんじゃないかなって思います。

 

 

 次に、①「どこにいっても忘れないもの」ですが、何かが始まった時の感覚、何かに期待を抱いた時の感覚は、どこにいっても忘れないもの、忘れたくないものだと言うことができます。

 

 

 そして、④「旅立ちにせつなさを感じるとき、その切なさを抱きしめながらいっしょにかんじるもの」は、自分が素敵だと予感したものと自分のありようがいつか変化してしまうことへのせつなさ、秘めていた想いを秘めたままでいることに対するせつなさとして理解できると思います。

 このせつなさは風に誘われ未来へ向かう時に生まれるものであり、それは今素敵だと思っているこの瞬間が終わりを迎えてしまうことに対して抱くものだと言うことができます。

 

 

 

 このように、『Brightest Melody』は、これまでラブライブ!シリーズで描かれてきた「微熱」、もしくは「微熱」に近いものであると言うことができそうですが、話はここでは終わりません。

 

 この曲が、「微熱」楽曲の最高傑作である理由が、⑤「歌うたびに生まれ変わるもの」という点に集約されており、この要素無くして『Brightest Melody』を語ることはできません。

 

 微熱は、やがて情熱へと変化してしまうものだと畑亜貴先生はラジオで言及しています。*1

 ただ自分の「好き」から生まれた行き場のない衝動は、いつかその「好き」のありようすらも変え得る情熱、「どんなことがおこるのかわからない」「はじまった時のトキメキ」はいつか、大きく元気な声で呼びかけて泣いたり笑ったりしながらホンキで捕まえようとする「夢」「未来」になってしまう。

 自分の中でただ「素敵だな」と思っていただけのその「トキメキ」は、ともすれば呪いになりかねない「目標」となって、自分の胸に秘めたひとりだけの宝物から、他の人にも簡単に共有されうる「夢」になってしまう。

 畑先生は、そのトキメキは世界でいちばんきれいなものだと思っているから、「私」が「あなた」に届けるラブよりも、「私」のこころにそっと秘めた、自分でもその正体に気づかないような「あなた」へのトキメキの方が美しいと思っているから、そのトキメキがトキメキのままでいて欲しい、情熱に変わらないで欲しい、でも、いつかは絶対に燃え上がる情熱へと変わってしまうことがせつないと仰っていました。

 

 自分の想いが変わって行くことにせつなさを感じたとき、それは「微熱」ではないのかもしれません。『Brightest Melody』は、そういうせつなさを含むものだから、正確には「微熱」ではないのかもしれない。

 そう考える方もいるでしょう。

 

 でも、違うんです。

 

 だって、『Brightest Melody』という微熱は繋がるものだから。

 繋がることによって、それは「世界で一番美しい」ものであり続けているから。

 

 

 『Brightest Melody』は、生まれ変わるものです。

 はじまった時のトキメキが変化して、それが微熱ではなくなったとしても、それが微熱だった時間と、それが変化していくことへのせつなさ。これらすべてを抱きしめてなおまた新しい、でもまだ確かじゃない夢にトキメキ、つまり「微熱」を感じていると歌詞には書かれています。

 それは微熱から本格的に風邪になって、その風邪が治りかけているのに、その症状が治りきらないうちにまた新しい熱が出てきてしまうような、きっとそんな状態。

 

 千歌は、そんなどこにいっても忘れたくない「はじまった時のトキメキ」が、暑く大きくキラキラと輝く様子、そしてその輝くの中に、かつて「はじまった時のトキメキ」であった、今までたどってきたすべてが残っていて、今もなお繋がり続けている様子を『Brightest Melody』と名付けました。

 

あたらしい夢 あたらしい歌 つながってくんだ

 

 

 

 思えば、先代であるμ’sにも似たような楽曲がありました。

 それは、「初めて出会った時から予感に騒ぐ心のMelody」でした。いつのまにか大きくなりすぎた感情を、ただひとりで抱え込み続けていることに対する切なさを『Snow halation』と名付け、その『Snow halation』に苦しみながら、それを成就させるために動き出そうとする姿が描かれました。

 アニメ2期9話『心のメロディ』では、原曲は恋心として描かれていた「好き」という感情に、メンバーそれぞれがスクールアイドルとして大切にしてきたものを対応させ、そんな燻っていた「好き」を叶えたい感情としてこの曲が披露されました。

 

 そして、そんな曲に対して、千歌は1期2話『転校生をつかまえろ!』で「スノハレみたいな曲を作りたい」とコメントしていましたが、『Brightest Melody』こそがまさしく、『Snow halation』に並ぶ曲、いや、『Snow halation』を超える曲だと言っても過言ではないでしょう。

 自分のまだ名もない「好き」という気持ち、「微熱」が芽生えた瞬間を描いた曲でありながら、その気持ちの対処には大きな差があります。

 想いに苦しみながら走り出したμ’sに対し、自分だけの名前のないキモチがいつかはっきりとした「夢」へと変わってしまうことを受け入れながらも、そのせつなさが今この瞬間も繋がっているんだと思いながら楽しもうとするもの。

 

 それこそが、『Brightest Melody』と名付けられた感情だったのです。

 

 

 

桜内梨子の曲そのものが『Brightest Melody』

 一度整理しましょう。

 

 まず、『Brightest Melody』とは、千歌が書いたその言葉を受けて梨子が作った曲であるため、本体は『Melody』であり、歌詞はそのMelodyの補足説明、作業指示書のようなものであると言うことができます。

 

 そして、そこで説明されている内容は、ラブライブ!シリーズで描かれ続けている「微熱」であり、それは作詞家の畑亜貴先生がこの世界で最も美しいものであると断言しているものです。

 また、ここで描かれている「微熱」は、それが「微熱」であるという性質故に、いつかはなくなってしまうことに対するせつなさを抱えています。しかし、その「いつかはなくなってしまうせつなさ」すらも抱きしめることで、新しいトキメキ、新しい「微熱」の中で、かつて「微熱だったもの」が残って繋がり続けているものでもあります。

 

 従って、『Brightest Melody』において梨子が作った曲は、微熱を「表現している」のではなく、「微熱そのもの」、つまり「世界で一番美しいものそのもの」であると言うことができます。

 

 

 なぜ桜内梨子の音楽は美しいのか。それは、美しいものを「表現している」のではなく、畑亜貴先生をして「最も美しいもの」と言わしめたものそのものに相当するものであるからだと言うことができます。

 

 

 

 

 ……「なんで美しいの?」っていう質問に対して、「美しいものを作っているからです」っていう解答、実はそんなに答えになってないんじゃないかな~とか思いつつ、でもその美しさの断片には触れられたんじゃないかなと思います。

 まあ、「歌詞先で作ってるから美しいです」というより、「『Brightest Melody』も歌詞先である」という事実から、梨子の曲ってシリーズの中でも特別美しいものとして扱われていることが読み取れるよねって、そういうお話でした。

 

 

 

 

 

 

 さて、こんな感じで進めてきましたが、次回はもう少し具体的な話に入っていきます。

 梨子の作る曲って、どういう音なの?その音って、他のシリーズとどう違うの?

 そしてその音からAqoursの曲ってどんな風にできてるの?

 

 そんなところに焦点を当てていきます。

 

 

 

 

 

 次回

 なぜ桜内梨子の音楽は美しいのか 中編

想いよひとつになれ

 

 2023年8月8日0:00分投稿。

 

 

 

 乞うご期待!

 

 

 

 

 

あとがき

 黒鷺です。

 

 本当はこの記事は去年の9月19日に全部まとめて書く予定だったんですけど、虹ヶ咲の5th関連の時期と卒業論文とか色々重なって書けなかったみたいです。

 

 だから、23年の梨子誕に書くか~と思っていたんですけど、なんとなく良さげな機会があったのでRTA気味に書いてみました。

 最近は記事を書くのが早くなってきたみたいで、この記事自体も10000字ちょいなんですけど、5時間ちょいで仕上げているので、1文字1円だったら上出来早くなったなあという感じです。

 

 どうして5時間で仕上げなければならなかったかというと、タグ企画の時期とラブライブ!学会の時期が被ったからです。この後今日提出のパワポもやんなきゃ……(白目)

 

 

 

 

Amazing Travel DNA

忙しいの?

それはただのあきらめです

 

 この歌詞は魔剤を飲みながら徹夜する時に使う歌詞ではない(戒め)。

 

 

 

 さて、筆者はラブライブ!シリーズのタグ企画に何回も参加してきました。

 

#世界は青いはず

#眠らないで夢を見よう

#SUKI_for_Aqours

 

 今年だけでももう3つ参加してるらしいです。

 

 その中で自分が最近信条としているのが、「面白いと思ったポイントを書く」ことです。

 

 前回の#SUKI_for_Aqoursのとき、6thのWINDY STAGEでも、考察系の記事を投稿していました。

 

darkphoenix505pianoles.hatenablog.com

 

 

 ラブライブ!シリーズは一種の宗教的側面が強く、それが傾向として見られるLiella!よりも圧倒的に、Aqoursのライブは自己啓発セミナー的側面が強いと思います。

 そして、そうした傾向そのものは、彼女たちの紡いだ物語がそこで価値を持っている証だと思います。

 

 

 でも、それ「だけ」じゃつまんないと思いませんか?

 

 確かに、Aqoursの物語から夢を貰って、生きる力を貰って、それを糧に自分自身の人生を変化させていくのって、すごく素敵な事だと思います。

 

 でも、ラブライブ!サンシャイン!!の面白さってそれだけじゃないんです。

 表現して伝えようとしてくれていることそのものへの感謝はもちろん必要です。でも、それが「私たちファンへの想い」だけなはずがないし、それ以外のところを掘ったらもっともっと面白くなるんだから、視点を1つに絞るなんてもったいない。

 

 そして、だれもそれに触れなかったら、それはなかったことと一緒になってしまう。それって、もったいなくないですか?

 2022年の『SUKI for you, DREAM for you!』『ユメ語るよりユメ歌おう』のように、ぬまづフェスやスクスタで楽曲に新しい物語が付与された時、その物語を知っている人間の方がライブパフォーマンスのなかでなにかに気づく点は多いはずです。

 

 例えば、『想いよひとつになれ』では、劇的な瞬間を思い浮かべる人が多いと思いますし、じっさいそのイメージが先行するのは当然だと思います。

 でも、あの曲の「面白い」を見つけたって楽しいと思いますし、「面白い」を見つけてあげないと、その「面白い」を仕込んだ人の想いがなかったことになっちゃうとおもうんですよね。

 1期11話『友情ヨーソロー』では、千歌と曜の「ふと気づくと重なり合うよ」の振り付けがずっと噛み合いませんでしたが、最後には、互いに背中からぶつかって反動でポーズを決める形、つまり千歌と曜にあった形に直すことでそれを成功させています。

 でも、そこに梨子が入って3人で踊るときは、背中合わせに近付いていく3人がぶつかりそうになって「はわわ~」みたいなことやってるんですよね。

 

 あと、配信だと「だいじな夢追うとき」で加藤達也氏、「だいじなひとがわかる」で伊波杏樹さんが抜かれています。絶対カメラそういう意図でやってるだろこれって鳥肌立ってました。

 

 

 こういうのをエンタメとして「おもしれ~」って見てることや、こういう話をずっとしている人間がいることって、大事だと思うんです。

 これは冗談じゃないんですけど、全然逆張りとかじゃなくて、単純にAqoursだと最近あんまり見ないから自分がやってるっていうお話。

 そして、僕は結局はそういう話をしてるオタクがいちばん好きなんですよね。

 

 自分にとってこの作品は生きかたの指針になっているもので、そういう大切なものであると同時に、それ以上にめっちゃくちゃ面白いオタク趣味でもあるんです。

 もう5年以上前の作品なのに、誇張抜きで100回見返した回もあるにも関わらず、まだまだ発見だらけで、それなのに現在進行形で新しい物語がどんどん更新されていって、こんな面白いものはめったにありませんよ。

(卒業論文のテーマが「偶然とは運命となりえるのか」だったので、作業中バックグラウンドでずっと2期5話『犬を拾う。』流してました)

 

 沼津に初音ミクが来るなんて、2年前に言って誰が信じるんだろ……ってぐらい、単純に作品自体が面白いんですよね。ラブライブ!サンシャイン!!って。

 もちろん、それを作ってくださっていること、伝えようとしてくださっていること自体にも感謝はしているんですけど、やっぱり自分にとって、そこで産まれた作品を骨の髄までしゃぶりつくして「おもしれ―」って言っていることこそが「楽しい」オタク活動なのかなって思ってます。

 

 それをここに残しておくことで、共有される「面白さ」とか、そこから産まれる新しい「好き」への探求心もあるんじゃないかなって思うので、ラブライブ!シリーズのヘビーユーザーの中でもコアで偏屈なオタクが執筆している怪文書ブログ #てつがくのドンカラス はずっとこんな感じでやらせてもらっています。

 

 

 ラブライブ!サンシャイン!!おもしれーーーーー!!!!

*1:急ぎで書いているので、ソースが確認できませんが、発言内容に間違いはないと思います