梨子ちゃんの事を好きになってからどれぐらい経ったんでしょうね。
気になったきっかけとか、本当に大切なものになった瞬間は覚えてはいるんですけど、でも、今どうして梨子ちゃんが好きなのかとか、梨子ちゃんの魅力って何だろうとか、梨子ちゃんってどんな子って聞かれた時、正直答えられる気がしません。
あの子、よくわからないんですよね。
なんというか、「よくわからないこと」そのものが魅力なんじゃなくて、あの子のすべてが基本的によくわかんない。それでも、自分の中にすんなりと入ってきて、何か分かった気にさせてしまう。
そんな子。
「わからない」ってことを説明するのも理屈っぽくなってしまうから、あまり深掘りはしたくないけれど、結局私たちが分かった気でいて、それでいて梨子ちゃんの作品の中で描かれてるものって、梨子ちゃん自身が理屈で理解してるかって言われると、そこも正直分からない。
むしろ、言葉で説明できない、理屈じゃ説明できないからこそ、言葉じゃなくて音楽っていう伝え方をしてるって言われたほうがしっくりくるような。
…こういう書き方しても、梨子ちゃんの魅力とかそういうものの説明になってない気がする…。
なんというか、すごくぐちゃぐちゃなんですよね。キャラクターを記号化したり、要素で切り分けようとしてみても、いろいろな要素が絡まり合っていて、無理矢理解こうとすると原型も保てなくなっちゃうような。
秩序がないというか、なんというか。糸を絡まったまま放置していたら、それがいつか大きな一つの塊になってるみたいな。
うーん、この例えもよくわかんない。
むしろ、ぐちゃぐちゃに見えるぐらいいろんな物が絡み合っているからこそ、それが一貫性と言うか、1つの芯になっているのかもしれないし、そもそもそういう見方で見るキャラなのかもよくわからないし。
すごく、梨子ちゃんについて何か語ろうとする事って難しいんです。
真姫ちゃんとか、歩夢ちゃんとか、かのんちゃんとかは割とすっきりまとめて整理して話せるつもりではいるんだけど、梨子ちゃんって整理できないんです。
こころとか、言葉とか、強さとか、特技とか、夢とか。弱さとか、脆さとか。絶望とか、悲しみとか、語り尽くせない程のありとあらゆるものたちが、全部全部絡まって、混ざり合って、梨子ちゃんのすべてを作り上げていて、何ひとつとして切り離す事なんてできないんですよね。
例えば、容姿の事を語るにしても、どうしてその姿が私たちをひきつけてやまないのかって、突き詰めたら結局、色んなものが絡みついてくるんですよね。彼女が女性である事とか、しなやかな強さとか、硝子のような脆さとか。
その組み合わせが、「いわタイプ」であることも「あくタイプ」であることも超えた特殊で唯一無二のものであることから、バンギラスが「バンギラスタイプ」と呼ばれたりするように、梨子ちゃんって結局、梨子ちゃんであることに行きついちゃうんですよね。
なんというか、出逢った瞬間からみんなの心の中にスッと入ってきて、ぐちゃぐちゃにして変えてしまうような、そんな子なんだけど、全然普遍的じゃないんですよ。特殊でしかない。全てがイレギュラーで、それでいて、「サンシャイン!!」の中心的な立ち位置を担うだけの、核心的なものをもっていて。
…なんか、当たり前のことすぎて、何の説明にもなってない気がする。
でも、そういうところがすごく好きなんです。「よくわからないこと」が魅力なんじゃなくて、何故か魅力的なんだけど、それは何故かは全然分からない。言葉にできない。
それでいて、よくわかんないだけじゃなくて、キャラクターでいてくれないんですよ。よくわかんないけど、イレギュラーなんだけど、桜内梨子ってどこまでも実在する人間なんです。
言葉にできないような何かを、いつもいつも当たり前のようにぶつけてきて。ぶつけてくると思ったら、たまに人間らしい弱さも見せて。
あんなよくわかんない子だけど、あの子何度も躓いたり立ち止まったりする姿を見せてきて。成長もするし、感情もあるし、そして何より、沼津という作品にも現実にも受け入れらている、フィクションだけど実在しているんです。
本当なんなんでしょうね。大好きだよ。
最初梨子ちゃんの事が気になってたのって、はじめましてのご挨拶で、一番「普通」だったからなんですよね。最初は他の子がすごく個性が強すぎるように見えちゃって。
今思うと、桜内梨子がいちばん普通なんて、絶対あり得ないですよね。一番普通という概念からかけ離れていると思います。笑っちゃいません?
梨子ちゃん、お誕生日おめでとう。
いまはまだよくわかんないけど、いつかあなたみたいに、誰かの生き方を輝かせてあげられるような人になってみせるからね。