#てつがくのドンカラス

それでは皆さん元気よく!不意打ち追い討ち?桜内!得意な技は?タイプ不一致!

For…us,the principal is "ME"

 #Curtainraise_intermission に寄せて。

 『Curtain raise』より、『ME』について。

 

 

 

 この曲を最初にフルで聴いたとき、歌詞が全く頭に入って来なかったんです。まず前奏の時点で性癖ぶっささりなんですよね。明るさと暖かさ、そして栄光。そんな単語が瞬時に頭を過ぎるぐらいに、音が目に見えたような気がしました。優しい光に包まれて目覚めるとともに背中から羽が生えてくるような、そんな神秘的な光景がすごく似合うと思う。

 逢田さんの第一声がコーラスなのも好き。コーラスやフェイク、シャウトみたいに曲中で発せられる言葉ではない声が大好き。寄り添うように、訴えるように、魂を震わせるように発せられたそんな表現方法が大好きで、前奏から好きだった曲からいきなりそれが飛び出してきたときの衝撃たるや。

 しかも、そのコーラスの声、逢田さんなんです。あの艶があって透明な音が、曲に寄り添って、そしてすぐに意味を持った言葉に変わっていって。

 この時点で好きな要素が多すぎて。耳で受け取った音を言葉として認識する前からもう好きなんです。

 だから、暫くは視聴の部分しか歌詞が頭に残りませんでした。今でも歌詞カード見ないとまともにこの曲で使われている言葉について話せないぐらい。意味を持つ前の音の段階で大好きなんですよね。やっぱり、逢田さんの声が好きです。

 

 

 さて、繰り返しになりますけど。

 私、この曲めちゃくちゃ好きなんですよね。

 曲を包む雰囲気が好き。透明感や優しさといった、これまで逢田さんを表現するのによく使われてきた言葉が似合う歌声も好き。聴いててすごく癒やされるし、リピートしたいタイミングを選ばない。

 嬉しいときでも、悔しいときでも、緊張してるときでも、自然と聴けると思うし、聞え方も変わってくると思うんです。

 この感覚、ちょっと懐かしいなって思いました。逢田さんの曲なのに、すごくいろいろなものが重なってきて。アーティストデビューが決まって、『Principal』をリリースして、そして、そこで初めて『アズライトブルー』『君がくれた光』『I will』を聴いたときのあの感覚。

 

 あの頃の逢田さんは自分のことを「アーティストとして無色透明」だと話してはいたけど、何者にも染まっていないからこそ何かを投影しやすいと思うんです。無色透明、透明感。そういった言葉での評価を受けて来た逢田さんの歌声って、聴き手である私たちの解釈やイメージを受け入れるだけの余白があって。

 歌われる内容も、私たちにとっての日常だったり、大切な人だったり、そういったものがすごく重ねやすいと思います。ラブライブ!の曲は必殺技だとよく説明されますけど、そういう特別なものじゃなくて、朝家から歩きながらなんとなく再生ボタンを押すみたいな、そんな優しく寄り添うようなイメージがあります。

 

 そうやって、日常のどこかにある『Principal』って、誰もが歌い手になれる曲だと思います。「この曲はこの人が歌うからこそ」って事は全然なくて。誰かが『Principal』を歌っているとき、きっとそれはその人の曲なのでしょう。前に、この企画の企画者の方が『I will』を歌うのをお聴きする機会があったんですけど、その人の静かに燃える情熱や覚悟が自然と曲を通して伝わってきて。(これはこういう場で詳しく書きすぎると怒られるので程々に)逢田さんの曲ではあるんですけど、そこに自分自身の想いを乗せても、その世界観は壊れることがない。私たち自身を受け入れるだけのキャパシティがあるんですよね。

 

 

 さて、『ME』を聴いて『Principal』を連想した理由はもう一つあって。『Principal』は、「自分が主役だと思わなくてはならない」って想いを背負ってリリースされましたが、この曲、すごく主役らしい曲です。「自分が」「私が」っていう意思をはっきりと出しているんですよね。すごく『Principal』らしい。

 逆に、『Principal』の曲たちって、テーマは確かに「Principal(主役)」なんですけど、『FUTURE LINE』と、強いていうなら『君がくれた光』以外の3曲って、主役=歌い手っていうイメージがなかったです。主役に向き合う人間(梨子ちゃん、琴姉なんかはこういう立ち位置でしたね)の生き様を歌った曲だって思っています。

 『Principal』リリース当時、私は「主役として引っ張っていく」「アーティストとして無色透明」と語る逢田さんがどんな主人公像を提示してくれるのか見せてくれると思っていました。でも、今は逆にそこで提示して固定しないことが一番あの人らしいんじゃないかって思います

 例えば、逢田さんのファンクラブ『Us』のコンセプトって、「集まれるお家」「心のよりどころ」なんです。特別な空間ではないんですよね。日常に、優しく寄り添うような、そんな場所。逢田さんが作品の受け取り手に対してどう発信するのか、また私たちがそれをどう受け取ったのか。それそのものだと思います。私たちの日常に『Principal』があって、私たちはそれを自分や誰かに重ねて過ごしていく。

 最初からこういう主人公になるんだって決めてそれを提示していたら、そうはならなかったと思います。むしろ、今こうして『ME』という主人公像を打ち出すための布石として、『Principal』で私たちに寄り添う像を提示したのだとさえ思ったり。

 

 『Principal』と『Curtain Raise』の間に、『for…』のリリースがありました。また、BirthdayEventを行ったり、アニサマに出演したり、ファンミーティングを行ったり。川柳少女や戦×恋も放送されましたね。いろんな覚悟をしてきたし、いろんな物を乗り越えてきた。Aqoursとファンの関係ではなく、逢田さんとファンの関係を作り上げて歩いてきました。それは紛れもなく主役の道でした。そうして歩いてきた先での答えですよね。『ME』=逢田梨香子は、「この道でよかったんだって証明」する主役です。

 それでも。『ME』=逢田さんだとしても、この曲は『Principal』のように、誰もが歌い手になれる曲だと思います。ついさっきも梨子ちゃんの言葉を使って説明しましたし、琴姉、七々子、四乃さんを思い浮かべてもしっくりくるんじゃないでしょうか。( 面倒な話をすると、自分は、正確には梨子ちゃんではないなと思います。ラブライブ!という物語においてあの子は主役ではないですし、歌われる内容も、よく聞くと曜ちゃんが混ざっています。歌い方は梨子ちゃん(それはそう)だけど、内容はむしろルビィちゃんや歩夢ちゃんに近いように見えます。ただ、証明できる人間だからキャスティングされた、梨子ちゃんを演じることでそうした生き方をするようになったという可能性は十分あります)逢田さんの曲で、完全に逢田さんの色だとしても、そこに受け取り手である私たちが入り込む余地があるんです。『ME』=逢田さんであると同時に、『ME』=私たちであることができるんですよね。

 

 逢田さんって、自分をよく色で表現します。音楽に色が見えてるような共感覚もあると思います。私たちと重なる普遍性を持った『Principal』の頃は無色透明でしたし、強い女性像を理想として掲げていた『for…』では、黒。そして『for…』の頃は黒と対比されて、そして今『Curtain Raise』では黒さえも塗りかえる色として白。

darkphoenix505pianoles.hatenablog.com

 

 さて、白っていったいどんな色なんでしょう?潔白、明白というように、誰も汚せない色。黒と真逆の色。そして、無色と共通するポイントがもう一つありますね。そう、他の色を受け入れることができる色です。

 逢田さんが、黒という色を強さとして提示してなお、それすら塗り替える色として真っ白な衣装で私たちの前に現れた意味だと思います。

 逢田さん自身の在り方を歌っていてなお、私たちを受け入れる余白を残していて、それでいて汚されることがない。そうやって私たちの日常に寄り添って、重ねることができる主人公なんですよね。ひたすら走っていく主人公じゃなくて、見守ったり背中を押したりしながら、ゆっくりと歩いて行く主人公。最近のサトシなんかちょっとそれっぽいと思います。

 

 逢田さんにとって、一番『ME』を伝えたい相手って誰でしょう?あの人はきっと「ついて来てくれるみんな」って答えると思います。少なくとも私はそう受け取ったし、だからこそアーティストとしてのあの人の主人公像だと感じました。

 そして、少なからずいるであろう、『ME』を伝えたい誰かがいる人たち。その気持ちは逢田さんの世界観の中で絶対に必要な物なので、大切にしてあげてください。「一期一会」を座右の銘に掲げる人なので。

 

 そうやって、大切な誰かに寄り添って歩いて行く姿も、私たち自身の日常のどこかにあるその姿も、すごく逢田さんらしいと思います。あぁ、私たちの『Principal』だなあって。

 

 

 『ME』の曲について書いていたはずなのに、いつのまにか逢田さんの主人公像について語ってしまいましたね。でも、それも間違いではないでしょう。『ME』ですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

P.S. さて、ちょっと、『ME』=私の事を書いておきましょうか。

 私自身、この年にもなってもまだ、見守られてるなぁって感じる事が多いです。未熟なんですよね。

 いつか私が『ME』を伝えるとしたら、その人たちに「これからは私が」って伝えたいって思います。

 例えば、私よりも圧倒的に大きな感情を逢田さんに注いでいて、それでいて自分自身も叶えたい夢を追いかけているあの人。まだ主役としては未熟だけど、感謝だけでもその人に伝えたくて、今こうやって追伸を打ってるなあ。敢えて誰とは書かないですけどね。

 

 次は名古屋で。溜め込んでいた想いを全部ぶつけて、逢田さんのステージを彩る光になって、そしてあなたの極上の笑顔と一緒に写真を撮れる日を楽しみにしています。