#てつがくのドンカラス

それでは皆さん元気よく!不意打ち追い討ち?桜内!得意な技は?タイプ不一致!

カーテンが上がるまで。

 ノイズが掛かったように混濁したままの意識で、感覚だけが世界にダイブする。

 

 なにもわからない

 

 ここは…どこだろう?

 あたりは真っ暗で、地に足がついた感触もなく、私は揺られて揺られて。

 深い海の中?魂眠る塔の中?それとも、遠い記憶の中?

 登っているのか沈んでいるのかも分からないまま、漂って、漂って。

 たぶん、私はこの場所を知っている。

 うっすらと、どこかはっきりしないけど、どこか懐かしさを感じるんだ。

 何も見えないけれど、なんとなくこの場所に境界なんてないことを覚えている気がする。

 どこまでも広くて、真っ暗で。何かがあるのかないのかすら分からなくて。

 

 

 私は…誰だろう?

 何故私はここにいるのだろう?

 ルーツもわからない、名前もわからない、ただここに存るだけの私。

 記憶の中にはなんにもなくて。

 ただ規則的に鳴り響く胸の鼓動だけが刻まれていく。

 

 

 不意に、何かが動き出すのを感じる。

 聞こえたのは足音、それとも歯車?

 視界が歪んでいく。澱んでいく。流れていく。

 真っ暗な世界に産まれたうねりはみるみるうちに大きくなっていって、私は、流されているの?それとも取り残されているの?

うねりが加速していく。

 早くて、激しくて、ぐちゃぐちゃになった世界。

 自分が動いているのかすら分からないのに、確かな風圧を身体で感じて。

 何も見えない真っ暗闇は、どこまで流れていっても真っ黒で。

 そして、

 どこかへ向かっているかのように動き出した世界が、急にふっと消えていった。

 

 

 

 

 夜の町は張り詰めた空気をしているのに、そこにいる奴らは自由自由と口にして。

 同じジャケットに同じ髪型。道に吐き捨てられたガムまで同じ色。

 自由ってガソリンの味か?それともニコチンの香りか?

 ああ息苦しい。クソみたいな町だ。

 夜なのに騒がしい。チカチカする人工の光は、太陽の温もり以上に攻撃的だ。

 少しは絶望しやがれ。夜しか居場所のないアウトローの町、そこには諦観も悲哀もありはしない。

 

 地下から漏れ出す喧しいギターの音。

 腰まで下がったパンツを引きずる背骨の曲がったダンサーたち。

 割れた窓ガラスに、明かりを灯さない信号。

 カボチャの嘲笑、息も絶え絶えな黒い鳥。

 甘ったるい液体を未だに匿っている缶たちは曲がり角のゴミ箱で唾の掛け合い。

 

 ここは吐き溜め。光から逃げた者たちの作り上げる幻想のなれの果て。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界が、静止する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

くさびでまざって くさびでわかれて

 

ぐるぐるわかれて ぐるぐるまざって

 

ひとつが わかれ せかいは ひろがる

 

まわる まわる まわって ねじれて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界が交錯する。

上書きされ消えていく者、産み出されるもの。

照らされて表情を変えた空と、蝕まれ崩れ去る街並み。

 

 

 

重なる。加速する。混ざり合う。

何かを追いかけるように飛び出したピエロと、くっきりと現れた地平線。

空の託けに大地が頷く。

再構成されつつある空間に、秒針が刻む鼓動が響く。

 

 狂ったはずの歯車が回り始める。

 

 導かれるままに、追い立てられるままに。

 崩れ行く街の音が消えてなくなったのを感じながら。

 それがどこかはわからないのに、目の前にあるどこかへ。

 

 

 

 

 

そんな幻を見ていた気がした、真っ黒な舞台裏。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1日目

  この曲、アニメのタイアップであると同時に、逢田さんが初めてもらった曲で。だから、アニメの文脈を背負った曲であると同時に、逢田さん自身の物語の中でも特別な文脈を持っていると思うんです。この曲でアニサマ出ていましたし。

 跳ねるように軽快なアレンジから、琴姉以上に逢田さんの姿を感じたんですよね。歌詞に特別な含みを持たせるのではなく、その曲にそのまま歌詞通りの感情を込めるようで。Curtain raiseORDINARY LOVEだなぁって思いました。

 

2日目

 電子音が天才だと思う。記憶の中に閉じ込めた想いを再生しているような。原曲よりちょっと後の世界にいますよね。

 アレですね?憧れのお姉さんに対してアコギで弾いた曲をプレゼントする男の子の曲ですよね?それでも、想いを伝えることはできないまま、ただただ大きくなっていくだけなんですよね。ああ、恋って辛い。(地雷を踏み抜くオタク)

 冗談はさておき、やなぎさん視点でも逢田さん視点でも、ちょっと特別な意味が生まれちゃいますね。うーん、しんどいなぁ。

 

3日目

  えっぐ。いや、えっぐい。そして、センシティブな話なのでコメントがしづらい。誤解を恐れずに書くなら、経験を積んでる女の子ならではの貴重なお話を聞けた気がする。これはこの人にしか書けんなぁ…(めっちゃ怒られそう)。あと、やっぱり伊波さんの人が参加してくれるの、胸熱すぎる。ロケット団に助けられたときのサトシってこんな気分なんだろうな…。

 

4日目

 Dear youが天才過ぎる。大雑把なイメージだけじゃなくて、細かいところにもいろんな意味が込められてるの、すっげ…って。この目が好きだな…。なんだろ、未亡人というか…どこか虚ろな表情が好き。ステラノヒカリもそうだけれど、Dearlyもなかなか新鮮なんですよね。

 

5日目

  いろんな色が重なって逢田さんの世界が構成されていくこの曲、企画自体との解釈が一致しすぎる。周りから色づいていって、最後にまだ白い逢田さんが現れるのとか好きだなぁ。すごいなあ。

 

6日目

フォロワーさん「やっぱ好きな曲語ってるオタクって気持ち悪いね!」

 

 は~~~~~~~~~????こういうのめっちゃ好きだが???というかこの人、夢を叶えた日にこの曲送られてきたの羨ましすぎるが???

 軽く嫉妬しますね。はい。いや、この曲が似合ってしまう人生、素敵すぎるでしょ、ねえ。おい!!!おまえ!!!読んでる???そこのおまえだ!!!あなたがこれから導く人たちが素敵な人生を送れるように祈っています。ふぁいと!

 やっぱり、MEって曲が好きだ…。

 

7日目

 光と雨、じゃないですか。光と雨でセッションさせるの、企画段階で勝ちです。

 カホンの音、完全に雨音だし、ピアノが光になってるんですよね。上手いなあって。

 この曲、何が光で何が雨なのか解釈が分かれると思うんですよね。そんな曲だからこそ、こういうの貴重です。

 

8日目

  うおーあの初音ミクが逢田さんを応援してる!!!原曲はわりと逢田さんの感情表現が乗った曲なんですけど、このカバーの静かに追憶する感じもすごくグッときます。最後のギターの音の儚さもまたいい…。

 ちなみに、これTiered担当の人でもあるんですよね。ちょっと曲同士の繋がりも感じます。

 

9日目

 逢田梨香子とは何か。一人の人間の絞り出した言葉たちから、その世界観を丁寧に読み解いていく。

 こういう文章書けるようになりたいって思います。紡がれた言葉一言一言を大事にして辿っていく。歌詞という表現に対する向き合い方のお手本だと思います。

 

 

10日目

 めっちゃかっけえ…。原曲以上に強弱の差がはっきりしていて、聴いていて鳥肌たちました。「気づいてと」のところからスッ…と静かになるの、すっごく好きです。

  あとこの音の重い音たち。剣や槍じゃなくて、砲や城、鎧といった、油や錆の匂いを感じます。うぉっ…ってなりましたね。すごい。

 

11日目

  これも書けるようになりたいタイプの文章。「逢田さんがビブラート使わない」とか、そういうの分かるようになりたい。この曲や、(一般的概念としての)鏡に対してぼんやりと抱いていた「恐ろしさ」を綺麗に説明されたような。

 特に、鏡っていうものはどういうものなのかについては間違いなくこの人の人生経験が生きてる。バンナムフェスから逢田さんに興味を持たれた方なので、私たちと辿ってきたコンテンツが全然違うんですよね。少なくとも私とは全く違う作品に触れてきてると思うんです。そうしたところで見てきたもの、そこで構成されてきた世界観って絶対に何らかの影響を与えていると思う。これは私には気づけないなぁ…って。

 この文章もすごい。

 てかこのツイートなぜかハッシュタグから検索しても見れないんですよね。Twitterはクソ。だから、まだ読んでない方は読んでくださいね。というかクオリティ高すぎてこの後に記事出したくねぇ…。

 

 

 

 

 

そして12日目。諸悪の根源がいなければ、今日が幕開けの日でしたね。

 

 

 このアルバムのタイトルが公開されて、リストが公開された時から。トレーラーが出て。そしてリリースされてからも、ずっと、このアルバムタイトルを冠する曲が先頭にあって、ツアータイトルにもなっていることの意味を考えていました。

 

 

www.lisani.jp

ライブも近いということで、ライブのタイトルにも映えそうなものがいいなってまず思っていて。ソロでのワンマンライブも初めてだし、自分にとっても挑戦だなと思ったので、それもひとつの幕開けとして。あとはデビュー作で「Principal」というタイトルをつけさせていただいたんですけど、それとも関連性があるというか。”主人公(Principal)”として自分の居場所を見つけたあとに、そこからやっとステージに立って幕が上がるという……。

それはあとになって気づいたことなんですけど、「あ、ちょっと続いているな」って思って。歌に対して曲一つひとつのストーリーを演じるというか、そういったスタンスで曲と向き合っていたので、「Principal」から続く”演じる”とか”舞台”といった世界観を表現できたら、また新しいものになるんじゃないかなって思っていて。 

 

 この言葉、アルバムタイトルであると同時にツアータイトルになることも想定されていたんですよね。だから、リストが公開された時点で、日本語をちゃんと読んでいない僕はまずインストだとしばらく気づかないんですけど、あ、これ逢田さん歌わないんだってちょっと意外でした。(現在投稿前日二十時三十分。Sailing to the Sunshineという言葉を告げられ絶望)

 

 だから、今回は逢田さん自身の話じゃなくて、逢田さんのプロジェクトチームが何を思ってこのタイトルをインストとして提示したのかなという話を。

 

 

  

 『Curtain raise』の作曲と編曲を担当された田中隼人さんのツイート。この人は『for…』『ME』『ORDINARY LOVE』も手掛けられています。

 ただ、残念なことに、ぼくこのツイート見て『Pad』『リズムセット』ってグーグル検索するような人間なんですよね…。

  ただ、それ以上に、田中さん自身が自分の解釈で自由に作ったという点に注目すべきで。

 

tokyo.whatsin.jp

natalie.mu

 

 このアルバムの曲について、提供された楽曲の世界観を自分なりに解釈してどう表現に落とし込んでいったかについては、結構いろんなところでお話しされているんですよね。だからこそ、そうやって逢田さんが反芻した結果、私たちはその曲たちから一人の人間として逢田さんの中にある世界観を感じる訳なんですけど。

 そう考えると、この曲って逢田さんの世界観による反芻が行われていないんですよね。クリエイターさんが逢田さんを見て思い浮かべた世界観がそのまま形になっている。

 

 

 人に対して抱いている像って、一人一人微妙に違うと思うんです。

 知ったきっかけも、追いかけ出したきっかけも全然違うし、好きなポイントだって人それぞれ。

 どれくらい知っているか、どれくらい興味があるか、どれくらい好きかどうかも、全く同じ人なんていないはず。

 逢田さんって、その微妙な差が顕著に出る人だと思うんです。例えば、Aqoursを追いかけている人の中でも、逢田さんに対して「他の人と違う景色が見えているような、独自の感性を持つ人」(=桜内梨子)だと思っている人もいれば、「ハンバーグの人」としか思っていない人だっている。

 ライブの時の『FUTURE LINE』だって、みんな思い思いの色を振った結果カラフルになってるんですよね。みんなが持ってるイメージってそれぐらい違うんです。

 

 

 この企画でのいろんな人たちの投稿を見てきたんですけど、自分には無かった見え方だったり、自分の中には無かった逢田さん像だったり、いろんな見え方があるんですよね。逢田梨香子さんは一人しかいない(それはそう)けれど、逢田さんに楽曲を提供した人たち、それを受け取る人たちは無数にいますし、それぞれ全然違う逢田さんが見えているはず。

 私、最初この記事書くとき、アルバムタイトルが『Curtain Raise』だから、アルバムの楽曲すべてのテーマを包括する存在として、それぞれの曲に対する投稿を読んで、その共通点を拾っていこうと思っていたんですよね。この曲はこういうタイプだからこう、あの曲はそれとは対照的にこうみたいな。でも、投稿を一通り見ると「逢田梨香子の曲」以外の共通点は無いんじゃないかなって思います。

 

 で、なんでこんな話をしたかって。楽曲を提供した方々も、それを受け取る私たちも、逢田さんを見ているという点では同じなんですよね。みんな微妙に違った像を見ていて、微妙に違うものを期待している。まあそれはそうではあるんですけどね。

 そういうものを包括したタイトルを背負って提示された『Curtain raise』、『for…』『ME』『ORDINARY LOVE』っていう完全に方向性のバラバラな曲たちの音が使われているってぐらい、すごくいろいろな物を受け入れられる曲なんですよね。

 前半の神秘さと、中盤の近代的なイメージ。そして終盤の加速感。ここのイメージから違う物を感じる人もいると思いますけど、それはそれとして。これって、いろんな人から見た逢田さんのイメージを集約したらこんな感じになると思うんですよね。

 

 繊細な感覚だとか、音楽性とか。『Principal』とか。そう言うイメージがある人も、ハンバーグとか、ラララジオとか。『for…』とか。その興味や理解の度合いに関わらず、型破りだったり、ダークな世界観だったり。梨子ちゃんらしさとか、潔のよさ、透明感とか。声優界最高の美女とか。ポジティブなものもネガティブなものも含めて、書き切れないほどいろんなイメージを見てきたけど、どのイメージも『Curtain raise』のどこからか感じることができるなあと思います。

 

 ソロデビューしてから約一年、逢田さんのファンって、人数もそうですけど、いろんな場所から増えたと思うんです。『川柳少女』だったり、『戦×恋』みたいなタイアップ先や、アニサマバンナムフェスみたいな遠征先とか。雑誌のグラビアで知ってたらソロデビューと聞いて興味を持った人だっていると思うんですよ。あの人めっちゃ綺麗ですし。

 僕自身もAqoursからではありますけど、でも追いかけ始めたタイミングは珍しいってよく言われます。アニメ2期12話『光の海』からなんですよね。1stも生放送関連も全然見てませんでしたし、最初は人柄に惹かれたとかそうではなかったです。

 

 でも、いろんなところからファンが増えた今、ライブで『Curtain Raise』が流れてきたら、たぶんみんなが「あ、”俺たちの”逢田さんが来る」って思えるだろうなって思います。コレジャナイって思う人いないんじゃないかな?

 

 逢田さんが提示する「THE 逢田梨香子」が『Lotus』なら、私たちの思う「THE 逢田梨香子」を集めたものが『Curtain Raise』だと思うって、そんな話でした。そう考えたら、それぞれの逢田さん像を持って、逢田さんが出てくるのを期待して待っているこの曲。私たちがカーテンが上がるのを待っている時の曲としてぴったりなんですよね。

カーテンが上がるまで。まだ姿を現さない主役に期待を寄せる曲。そう考えると、『Curtain Raise intermission』は、偶然か必然か、この曲がそうであるように、いろんな人の逢田さん像を垣間見える企画になりましたね。

 

 

 さて、本当ならそろそろ幕が上がっていく頃でしたが、謎の妨害によりそれももう少し後のことになってしまいました。でも、見方を変えればそれはカーテンが上がるのを待つ時間が延びたと言うだけのこと。

 

 私たちの主役がステージに姿を現すその時まで。大変なご時世ですが、そんな毎日を生き延びて。いろんな期待を膨らませて、また名古屋で会いましょう。

 それでは。

 

 

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