#てつがくのドンカラス

それでは皆さん元気よく!不意打ち追い討ち?桜内!得意な技は?タイプ不一致!

『伝統、奇跡、運命愛、渋み、滑らかさ』 スリーズブーケの魅力を語る。

 こんにちは。黒鷺です。

 

 ユニット甲子園にむけて、なんか始まるみたいですね。

 

 

 

  黒鷺もどこかの回で出るらしいです。

 

 

 さて、それはそれとして、たぶん結構な人がラブライブ!シリーズ内で作品をそれなりに跨いで履修していると思うので、所謂推しユニットって複数あると思うんですよね。

 

 

 で、これ1人で完走できたら面白そうだなって思って、便乗して全ユニットの魅力紹介記事を書いてみることにしました。

 企画やってる日にそのユニットの記事を上げてくぐらいのペースなら追いつけるかなーと思うので、最後までお付き合いくだされば幸いです。(なお既に遅刻している模様)

 

(ここまでコピペ)

 

 

 今回はスリーズブーケ。推しユニット回です。

 

 

 

世界は変わる この手を伸ばした瞬間から

 世界の在り方に対して干渉しようとするみらくら、ドルケと比較した時に、スリーズブーケは世界そのものではなく、それを認識する目線の方を変えようとする傾向があります。

 

www.youtube.com

 

 

世界は変わらないように見えても、自分が変われば世界は変わる。

ラブライブ!サンシャイン!!』は、そのことに気づく物語なんです

 

ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over The Rainbow パンフレット

酒井和男監督インタビューより抜粋

 

 この手の話をするときにオタクが引用しがちなアレ、自分も大好きなので触れときました。

 

 

 1話『花咲きたい!』での花帆は、梢とのやり取りを通して、通う学校を別の学校に変えるのではなく、学校での過ごし方を変えることでこれからの学校生活を変えるという決断をしました。

 

 

 

 1話に限らず、スリーズブーケ関連のエピソードには、「何かを受け入れる」といったものが非常に多く見受けられます。

 弱い部分や至らない部分を補う何かを手に入れるエピソードの多い他2ユニットとは異なり、弱い部分も自分のものとして受け入れていくという方向性で話が進行していく傾向が強いです。

 

 例えば、2話『ダメダメ⇨世界一!?』や第3話 『雨と、風と、太陽と』 では、練習の量やパートナーに対する向き合い方が変化しただけで、花帆の能力が強化されたわけではありません。

 しかし、自分が未熟であることを受け入れて、パートナーと手を取り合って前に進もうと誓ったことで、花帆が精神的に得たものは大きかったと思います。

 

 梢はもっと顕著で、8話『あの日のこころ、明日のこころ』で区切りがつくまで、物語が始まる前から半年以上ずっと引きずり続けて、拗らせに拗らせた綴理とのすれ違いの原因は、たったひとつ。

 

 

 自分の正直な気持ちに気づいていなかったこと、今の自分が「何を思って」、「何が大切で」、そして、大切な人に「どうして欲しいのか」が分かっていなかったこと。

 自分の本当の気持ちを、自分のものとして認識できていないというたったそれだけの事が、話数にして8話分、作中時間にして半年以上尾を引く大問題になってしまうような、そういう描き方をされているんですよね。

 

 ゲーム内で満場一致で梢の最強カード*1である『DEEPNESS』の限定ボイスでは、他人の気持ちは変えられないと思い込み、だからこそ、自他共に心の奥底に触れること、他人を傷つけることなんだと怯えてしまい、いつしか気持ちを隠すのが当たり前になってしまっていたことが語られており、梢にたったひとつ欠けていたのが、「自分の気持ちを押し殺さないこと」、つまり、なかった方がよかったもの、あたかもないようなものとして扱うのではなく、「これが自分の本心なのだ」と受け入れることだったことが分かります。

 

 

 自分自身の身に起きたことを「これこそが”私”を構成する経験なのである」として受け入れることは、一般的に「運命愛」として説明され、九鬼周三やニーチェといった現象学分野の哲学者たちの著作で何度も反復されるテーマであり、ラブライブ!シリーズでも、主に作曲キャラを中心に描かれ継がれてきたものです。

 蓮ノ空でも例に洩れず、音楽一家の出である梢を通して描かれた事からも、シリーズの伝統を感じると共に、やっぱり素敵だなと感じる大切なテーマです。*2

 

 

 

 また、それを演じているキャストの方に視点を移すと、各所で言及されているように2人ともラブライブ!スーパースター!!の一般公募オーディションに落選した過去があります。

 メタ的ではありますが、これが物語にかなり深みを増す要素となっていて、例えば1話で花帆が編入先を探している時に見ているパンフレットには、結ヶ丘の生徒会長である葉月恋だと思われる姿が映っており、花帆が結女への編入を考えていたことがわかります。

 

 

 最終的に花帆が下した蓮ノ空女学院で花を咲かせるという決断に、Liella!ではなく蓮ノ空のキャストとして楡井希実、花宮初奈両氏が選ばれたという事実がリンクしていて、リアルライブでの『水彩世界』のパフォーマンスを見るときに熱が入るポイントとなっています。

 

私と君の誓いのせて

星がシュッと飛んだ キャンパスの上

夜明けの先に すくみそうな明日が待ってても

君がいれば 絶対大丈夫

 

 ここでモチーフとして「星」使うのも、憎い表現だな~と思います。

 

 

いついつまでもこの声を未来へと届けよう

 また、スリーズブーケは3ユニットの中で特に「スクールアイドルが一瞬であること」を意識させるような描写が多いと思います。

 

 例えば花帆は長女であり、妹たちとの交流も描かれていることから、無印の穂乃果や絵里がそうだったように、この妹たちが蓮ノ空に入学した未来をつい想像してしまいやすいような設定となっています。

 

 また、梢の憧れのスクールアイドルがμ’sであり、特に絢瀬絵里に憧れていることが様々な媒体で言及されています。

 絵里といえば、同じく絵里に憧れているサンシャイン!!の黒澤ダイヤと共に、「生徒会長とスクールアイドルを両立させているキャラクター」として認識されており、スクスタでは9章『せつ菜の試練』で、せつ菜にはなれなかった姿として言及されていました。

 


 絵里に憧れているダイヤが同じく生徒会長に就いていることや、2校が合併する(超特大ネタバレ)ことから学校体制内に役割を持たせると面倒になるであろうスクミュを除き、全てのシリーズでスクールアイドルが生徒会長を兼任しており、そして生徒会長という役職が、それぞれのスクールアイドルが「学校代表」であることのキーとなってきたことからも、「梢が3年生になって生徒会長に就任するかもしれない」という予想がチラつくことになります。

 

 実際蓮ノ空の現生徒会長は、物語の時点で引退したスクールアイドルであり、101期で3年生である大賀美沙知が務めており、来年度は沙知の卒業に合わせて、他のネームドキャラに交代することが予想できます。

 

 となると、順当に考えれば梢、ストーリー13話『追いついたよ』*3次第で綴理の就任が考えられます。

 しかし、同時に生徒会長は部活に所属することができないというルールが存在するため、現状私たちは、「梢と花帆のスリーズブーケは今年だけのものかもしれない」という可能性を常にチラつかされながら作品を追いかけていることになります。

 

 

 また、梢が部長であることからも、3話で花帆がノートを読むシーン等、蓮ノ空の歴史をなぞるシーンや脈々と引き継がれてきたものを引き継ぐことに言及するシーンも多く、その分、今の2人もいつかは「引き継がれていく」ものになることについ意識がいってしまいがちになるように構成されているものがとても多く、それが一層楽曲の切実さややるせなさを強調してくれています。

 

 スリーズブーケの曲には、『水彩世界』『謳歌爛漫』『千変万華』など、四季の移ろいを題材としたテーマが多く使用されています。

 そして、その移ろいの中での出逢いの意味だけではなく、「いつかは別れがくること」をより意識させやすくなるような表現も多くそして、そんな「別れ」を始めとしたあまり綺麗ではない感情でさえも曲中にはいくつも登場します。

 

 ドルケとかは、そういうネガティブなものに対して斜に構えているイメージがあるんですけど、スリーズブーケはそれさえも自分たちが歩んできた道として受け入れて、自分たちがいなくなった先の未来へ繋いでいこうとしている点が、魅力として映るんだろ思います。

 

前に進むため そんなこと

忘れろって笑われるかもね

荷物になるとしても

切なさもやるせなさも

連れてゆくよ

 

謳歌爛漫』(スリーズブーケ)

 

安全バーは君の腕 ぎゅっと握りしめた

 関係性の方に目を向けると、ここも結構魅力が多いポイントです。

 

 梢が蓮ノ空の中ではかなり拗らせ他のキャラとの関係性が濃いメンバーなので、いろいろと捻った想像の二次創作の多いキャラなのですが、その相方である花帆との関係性に目を向けると、花帆がとても純粋に梢センパイ好き好きムーブしていて、基本的にそこからブレないので、本当に強いんですよね。

 

 というか、むしろ梢と花帆の関係性に全然曇りがないからこそ、梢と他のキャラの組み合わせが曇ったものとして描かれがち、みたいなこともあるのかもしれません。

 

 

 蓮ノ空大三角は、不器用な梢とコミュニケーションが苦手な綴理と、コミュニケーションや発信、対話に関して歴代でもトップクラスに優れたキャラクターである慈の3人で構成されており、基本的に慈がいれば拗れたりすれ違ったりするようなことはないはずでした。

 ですが、そんな慈が怪我で引退したのに端を発する一連の事件があったことで、慈は2人に対して負い目を感じるようになってしまっており、*4その経験は2人の関係性を語るうえでは欠かせないため、どうしても暗いイメージが付き纏ってしまいます。

 

 なんかいつも曇らされている綴理は言うまでもないですが、そんな蓮ノ空大三角が1年生の時に上手くいかなかった過去がある以上、大三角の他のメンバーの今の相方であるさやか、瑠璃乃に対しても、梢の視点からすると「自分ではうまく築けなかった関係性を築けている人」という風に映ることになり、なんだか少し湿っぽくなります。

 

 

 

 しかし、そんなずっと尾を引く過去があるからこそ、今の梢がスリーズブーケとしてスクールアイドルができる理由である、現相方である花帆の純粋さがすごくベストマッチなんですよね。

 花帆は梢より年下でありながら、しっかり読書量の多いキャラクターであるため、言葉での表現や理解に優れており、また長女であるため人の話を聞くこと自体が得意です。

 

 慈と違って梢とは対等な立場ではなく、普段は花帆が梢に甘えているという上下関係にあるため、慈や綴理相手のように意地を張る理由がありません。

 花帆の前ではかっこいい先輩でいたいという想いはあれど、梢は自分の弱い部分を花帆にだけは素直に話す傾向があり、花帆も梢のためになにかを返したいという想いが強いキャラクターです。

 だから、素直になれない梢が、本心を隠すことですれ違いが起こってしまうような局面でも、それを抵抗なく引き出せる花帆がいることで、押し殺してしまうはずだった本音で触れ合うことができて、すれ違って傷つけあっていたかもしれない局面でも最良の選択ができるようになっているんですよね。

 

 

 梢が意地を張ることもなく、気を使うこともなく、それでいて人の話を聞いて必要な言葉を返せるだけの能力がある人間が、梢のことが大好きという状態なので、2人の弱い部分と強みになっている部分が奇跡的な噛み合いを見せているんですよね。

 

 ゲームでも、ドルケやみらくらは、カード6枚で編成を組もうと思った時に、何らかの役割の層が薄くなりがちですが、スリーズブーケはハートキャプチャ、回復、バフがバランスよく揃っており、キャラ同士の性能がすべてのユニットの中でいちばん噛み合っています。

 手札交換はSPを除くと瑠璃乃しかもっていないスキルなのですが、スリーズブーケはAPを補充できる手段に優れているため、手札が悪くてもカードを使いまくって無理矢理デッキを回したりもできます。

 

 

 ドルケの綴理は才能、みらくらの慈は機転が利くことが武器となっていますが、スリーズブーケの梢は努力で戦っていることが、「カードを使える回数が多い」ことで表現されているのかなと思っています。

 

 

 

 

 ここからが大事なんですけど、スリーズブーケを梢を軸に好きな人って、結構「弱い部分が好き」って人が多いと思うんですよね。

 

 なにかが自分の「推し」になる理由っていっぱいあって、例えば憧れとか共感とか色々あると思うんですけど、その中には「キャラクターの弱い部分が露わになるたびに、そうやって悩んだり躓いたりする姿が愛おしく思う」人って結構いると思うんです。

 サディスティックな気分になるとか、そういうことじゃなくて、「弱い人間だから愛おしい」んですよね。

 過ぎ去っていく季節とか、少しずつ近づいてくる別れとか、そういった一抹の寂しさを「綺麗だな」って思えるのって、日本人特有の感性だと思うんですけど、梢が完璧じゃなくて不器用で頭が固くて融通が利かない部分が露わになって、それが梢自身の足を引っ張ってしまうたびに、胸が締め付けられるような気持になりながら、なんとなく「いいな」って思ってしまうような。

 嘆きや悲しみの表情を、「綺麗だな」って思ってしまうような。

 

紅茶は喉に引っかかる感じがいい。

 ここまでスリーズブーケの2人の人となりや関係性に注目してきましたが、ここからはパフォーマンスの方に注目してみましょう。

 

 まずはぱっと見で分かりやすいダンスについてなんですけど、作中では梢は綴理ほどではない上に引き立て役であったにせよ、全く万全ではない状態でラブライブ!全国大会出場権を獲得できるぐらいには踊れるキャラクターなのに対し、花帆は体力作りを今年の4月に始めたばかりのため、蓮ノ空の6人のなかでいちばん運動ができないキャラクター*5です。

 つまり、ダンスについては他ユニットのなかでもバディー間の実力差が激しいことになります。

 

 しかし、それをリアルライブで演じるキャストに目を向けると、花帆役の楡井希実さんはHIP-HOPが特技でアイドル経験があり、梢役の花宮初奈さんはクラシックバレエとジャズダンスを経験しているため、2人とも方向性は違えどダンスが得意で、そこに見ている側は実力差を感じることはありません。

 

 でも、そんな2人のパフォーマンスから先輩後輩感を感じないのかと言われると、そうでもありません。

 全く別の要因から、梢が導いて花帆が付いていく先輩後輩感を演出できるようになっているんですよね。

 

 

 それは端的に言うと、キャストの容姿です。真面目に書いているのでブラウザバックしないでください。(懇願)

 

 素朴で童顔な楡井希実さんに対して、彫りが深いクオーターの花宮初奈さんと、2人の容姿は結構対照的で、並ぶと花帆役の楡井希実さんが花宮初奈さんより幼く見えるんですよね。

 体格もかなり違って、2人とも比較的細身ではあるのですが、華奢に見える楡井希実さんに対して、花宮初奈さんは結構しっかりした身体つきをしています。

 身長差も相まって、すごく見た目の大小が際立って、それがすごく「先輩後輩」っていう設定と相性がよくて、別に実力差があるわけじゃないのに、パワーのある梢と追いつこうとする花帆の姿に見えてくるんです。

 

 ユニット曲ではないんですけど、『DEEPNESS』とかすごくそれが顕著で、キャストの対格差を上手く使ってストーリーや先輩後輩感を表しているなと思います。

 

 綴理役の佐々木琴子さんは身長が高く、梢役の花宮初奈さんは体格がしっかりしており、その2人の両脇に小柄な2人が配置されているのが『DEEPNESS』の基本的なポジションです。

 

 すると、1年生が体格上2年生より小さく見えるため、振り付けが2年生の延長に見えるんですね。

 どういうことかというと、例えば真ん中の2年生が外側に腕を伸ばしたとき、外側の1年生も同じ動きをしているんですけど、それがまるで2年生が翼を広げているかのように、動きが外側に強調されて見えるようになっています。

 1年生が、2年生にとっての外付けの強化パーツになっているんですね。

 

 場所によっては、1年生が2年生よりすこしタイミングをずらしているところもあり、内から外へ力が伝わっているようにみえるような構造になっています。

 だから、先輩2人の物語に後輩が加わることで、梢が綴理に並び立っているというストーリーがパフォーマンスからも感じられるんですよね。

 なおかつ、梢と綴理の動きの迫力が強化されているので、パフォーマンスのインパクトがすごいという。

 

 

 話をスリーズブーケに戻すと、『水彩世界』で背中合わせになったときや『Holiday∞Holiday』で腕を組んだ時に、その体格差から生じる効果がすごく分かりやすく発揮されていると思います。

 

 

 

 

 

 

 体格差を活かした以外でも、他のユニットと比較したときに分かる演出もあります。

 パフォーマンス中の2人の距離感が、他ユニットと比較してすごく近いんですよね。

 ドルケやみらくらは2人がそんなに近い距離でパフォーマンスしていないんですけど、スリーズブーケは手を伸ばさなくても互いに触れられるぐらいの位置で立っていることが多いです。

 衣装の露出度も相まって、そんなに肉薄して大丈夫なのかとドキドキする部分もありつつ、その距離感の尊さにやられる人も多いと思います。

 

 また、そんな近距離で歌っている2人ですが、『水彩世界』が一番わかりやすいんですけど、曲中で場所を入れ替わることが多いです。

 ドルケなんかはステージ上で大きな円を描くような動きをしがちなので、自然と場所チェンジが発生するのですが、スリーズブーケは曲の区切りで入れ替わることが頻発にあります。

 

 背中合わせで歌っている都合上、2人が互いに死角に入っていることが多くて、だからこそ、ステージ上で近距離なのにも関わらず相手の正確な位置って分からないはずなんですけど、それでも2人が曲の節目で場所を入れ替わるとき、よく見てみたらノールックなんですよね。

 

 2人の信頼しあって背中を預けている感じが、すごくスリーズブーケだなあって思える一幕です。

 

 

 

 

 歌唱の方に目を移すと、なんだか素直でまっすぐな歌声なのに妙に癖になるような、そんな感じの人が多いような気がします。

 

 確かに梢の声は特徴的ではあるんですけど、瑠璃乃とかルビィとかかすみみたいに、ちょっと浮いて目立つタイプでもないんですよね。だから、なんで癖になるのかよく分かんないな~みたいな人は多いと思います。

 

 

 声の特徴を紐解いてみると、スリーズブーケとして見たときに、全体的に湿っぽいというか、瑞々しいというか、そういうなんとなく跳ねる水音を感じるような声質が特徴となっていることが分かります。

 

 『眩耀夜行』とかすごく分かりやすいんですけど、花帆の少し滑らかな声に、なんか湿度の高い梢の声が重なる声で、夏の夜のような曲のイメージを産み出しているように、クリームのような花帆の声と、火を通す前のフレンチトーストみたいな梢の声が重なって、「流れる」「水」になってるんですよね。

 

 それでいて、花帆もここ一番で感情を込めるときには、憧れの梢センパイに近付こうとするかのようにびしょ濡れの声を出したりするので、よくよく聞いてみると晴れやかなパートも多いのに、全体的な声のイメージがすごく水気を含んだものになっているような、そんな感じがします。

 

 そんな感じの歌声が、コップに汲まれた冷たい水を飲んだ時のように、爽やかにすっと喉を通過していくと思いきや、なんだか喉に引っかかるような部分があって、それがなんとなく癖になってしまう。

 私はスリーズブーケの魅力と言えば、歌声が喉を潤す水のように流れ去ると思いきや、ちょっとだけ引っかかってるこの感覚だと思っています。

 

 霧のように実態のなくて、ただ空気の流れだけがそこにあるはずなのに、何か固形物が混ざっているようで、それが脳裏に引っかかって残ってるこの感触。

 年度が替わって、メンバーが入れ替わったりして、この感覚がなくなったときに、「スリーズブーケ変わったな」って変化を感じてしまう未来さえ見えてしまうような、ほんのちょっとだけど主張のつよいこの感覚。

 

 

 それはきっと、梢の声質の内側にある、すこし掠れたような小さな吐息だと思うんですよね。

 梢役の花宮初奈さんの普段の話し声や、梢の歌以外の声を聞いているとすごく分かりやすいんですけど、あの声を真似しようとすると、「声を出そうとする」じゃなくて、「吐息に声を乗せようとする」みたいな感じになるんですよね。所謂ウィスパーボイスっていうやつです。

 

 そうすると、声をローマ字表記した時に、ちょっとずつ「g」とか「n」が混ざり始めてくると思うんですけど、たぶんその「g」とか「n」がこの引っかかって残ってるものなんだと思います。

 ここだけ流れる川の水のように滑らかじゃなくて、岸辺に引っかかってる木の枝みたいに残って、異様に目に留まって、存在感を主張しているんですよね。

 

 キスをしたときに脳内にべちゃべちゃという音が反響して、蕩けそうになりながらも、ザラザラした舌先の感触が、そのリアリティで意識を現実世界に引き戻してくれてるときみたいな。

 官能的で翻弄される感じや、その感覚に必死で縋りつきたくなるような切なさとか、そういうものがこの梢の息遣いが生み出してくれていて、それがすごく聴いていて癖になる。それが、スリーズブーケの最大の魅力なんじゃないかなって思います。

 

 

 

 

 いかがだったでしょうか?

 

 スリーズブーケの魅力が伝わったなら幸いです。

 次は何になるんでしょね?なるはやで頑張ります。それでは。

*1:なんならリンクラ最強カードまである。

*2:個人的な宣伝になるのですが、第二回ラブライブ!学会で、ラブライブ!サンシャイン!!2期5話『犬を拾う。』及び桜内梨子について、世界を受け入れるその生き方について「運命愛」をテーマに発表したもののアーカイブが、おそらく学会YouTubeの方でそろそろ公開されるので、そちらも是非。公開されたらここも更新しておきます。

*3:これを描いている時点では13話part4まで公開

*4:これに関しては11『スクールアイドルクラブのために!(?)』話で吹っ切れてはいます

*5:花丸や可可のような体力ない枠というわけではなく、あくまでも6人の中での相対評価