#てつがくのドンカラス

それでは皆さん元気よく!不意打ち追い討ち?桜内!得意な技は?タイプ不一致!

Stellar Streamの情報量多すぎ

 さっきこの曲のフルを聴きました。というか、曲をようやくちゃんと聴けました。

 

 初見だと、なんとなく「すっげぇ……」って感じだったんですけど、ちゃんと聴くとすごく情報量が多い曲だなって思いました。

 

 この曲って、たぶんテーマとモチーフを両方2つ持ってると思うんですよね。

 2つのテーマにそれぞれ別のモチーフを充てて、そのモチーフを『Stellar Stream』っていう上位語で括っているっていう構造なんですけど、複雑なので1個ずつ紐解いてみます。

 

 ひとつ目は、劇中での歩夢ちゃんの役割に合わせた意味での『Stellar Stream』。

 「自分と同じように輝いている人たちの中で羽ばたく姿」を恒星ストリームに準えていますが、テーマだけ見れば対になるランジュちゃんと同じだと言えます。

 

 同じテーマで対決したなら、差が付くのは表現方法とそれを実現するだけの実力です。つまり、これって本当に同じ条件でのランジュちゃんと歩夢ちゃんの真っ向勝負なんですね。

 

 で、これって劇場版の描写だけで読み取れると思うんですよ。

 歌詞とかちゃんと聴き取れてなくて、実際のライブシーンをさらっと見るだけでも拾える内容だと思います。

 

 

 

 これ、2番以降を聴くと全然違うテーマを重ねてるんですよね。

 ふたつ目のモチーフは、おそらく「天の川」なんじゃないかな。

 もうひとつのテーマは絶対間違いないです。いつもの歩夢ちゃんです。たとえどんなことがあったとしても、絶対に「あなた」との絆を守り抜いてくれる、歩夢ちゃんの一番好きなところは今回もしっかり曲に落とし込まれています。

 

 

未来馳せるほどに芽吹く

高鳴る思い目指す先

行き先への道が

離れて行ったとしても…

 

こんなに広い宇宙で強く

希望を手繰り寄せていく

夢と夢とで結んだ心

抱き締めていよう ずっとぎゅっと

明日もあなたが

笑顔でありますように

 

 

 「行き先への道が離れて行ったとしても…」で、ピンときた人もいるんじゃないでしょうか。

 ちょっと意味を広めに取りますけど、ここでの『Stellar Stream』って、天の川を連想させる役割があると思います。彦星と織姫が分断されてしまうことから、切ない恋心のモチーフに使われがちです。

 

 …使われがちなんですが。

 

 歩夢ちゃんと私との絆は天の川程度で引き裂くことはできません。

  この曲、天の川で

 

Rise up and we shoot
We're gliding above

 

するんですよ。

 天の川っていうモチーフ使って、「障害を撃墜して天の川の上を一緒に飛ぶ」っていう表現をすることある???

 

 対応してる2番のサビとか、

 

Fill up with the dreams
Like stellars above

 

からの

We soar across the sky, high

ですよ。

 1人で『Stellar Stream』を作り始めるし、空高くで歩夢ちゃんと「あなた」はまた出会うし。

 

 よく聴いたら、『Stellar Stream』が実は舞台装置なんですよね。ランジュちゃんと同じテーマからスタートしてるのに、「一緒に輝く人たち」のモチーフである『Stellar Stream』を自分自身が作り出すって歌ってるんです。

 …でも、だから歩夢ちゃんはすごいんだってランジュちゃんが言ってたな……。

 

 そして、そんな場所で歩夢ちゃんだけでなく「あなた」も羽ばたいてるから、天の川で分断されようがお互いに自分の羽根で羽ばたいて会いに行くっていうパワープレイすら可能になってしまっています。

 

 

 …めっちゃ、大好きな歩夢ちゃんなんですよね。

 『Break the System』とか『Walking Dream』で見せてくれた、どんな壁やどんな絶望的な断絶で隔たれても、絶対に「あなた」のことを見つけにきてくれる、私たちにとって最強の「あなた」である歩夢ちゃんのいちばん好きな部分なんですよね。

 

 しかも、今回は

We soar across the sky, high

ですからね。羽根があるのは歩夢ちゃんだけじゃないんです。

 どんなことがあっても大切な人との絆を守り抜く強さを持っているのは、歩夢ちゃんだけじゃないんです。

 「あなた」にもあるんですよ。「あなた」にもそんな力があるんだよって、歩夢ちゃんが信じてくれてるんですよ。

 まあそうですよね。一緒に『Fly with You!!』歌いましたもんね。

 

 あのとき一緒に愛を叫んだ「あなた」と歩夢ちゃんの力って、こんなに強いんですよ。これが愛の力なんですよ。

 

 完結編だとか、スクスタやスクフェスが終わったとか、楠木ともりさんとか。私たちはたくさんのものを失ったし、たくさんのものを見送ってきました。そのたびに、虹ヶ咲そのものを失ってしまったような気持ちを味わってきました。

 

 確かに、失ったものは失ったし、帰ってこないものは帰ってきません。でも、一緒にいられる場がどれだけ無くなっても、少なくとも歩夢ちゃんと「あなた」の絆に関しては失われることはありません。

 会えなくなったなら、会いに行けばいい。天の川で引き離されたら羽ばたいて会いにいけばいい。

 誰も私と歩夢ちゃんの関係性を引き裂くことなんてできない。

 

 そういうのも背負ってると思うんですよね。

 

 

 

 メタファーやモチーフを使った表現はラブライブ!でたくさん登場しますし、シンプルな歌詞よりもそうした情景にテーマを託した曲は、それぞれのシリーズでも重要な役割を担っていたり、終盤の曲になったりしがちだという印象があります。

 『Stellar Stream』って、そういう曲と並べても遜色ないぐらい完成度も高いし、表現としてのレベルも高いなって思います。

 

 情景を歌うことでテーマを表現するのは、さまざな創作で一般的な手法だと思うんですけど、この曲は逆なんですよね。

 テーマを歌うことで情景を連想させる曲なんですよね。

 歩夢ちゃんの気持ちを歌うことで、いろんな『Stellar Stream』を想像させるっていう、表現としては相当レベルの高いことをやっています。

 同じことをやってる曲って、他シリーズで有名どころだと『DREAMY COLOR』とかそのレベルですからね。

 

 私と歩夢ちゃんって、こんなとこまで来たんだって、ちょっと誇らしいです。