#てつがくのドンカラス

それでは皆さん元気よく!不意打ち追い討ち?桜内!得意な技は?タイプ不一致!

過ぎ去りし時を求めて

 ドラクエの話ではないです。ドラクエの話はするけど(初手矛盾)

 

 

 

 私がAqoursのライブを初めて見たのは5thだった。すごく最近。よくみんなが「2018年のあの密度の高い中を駆け抜けていた時が一番楽しかった」って話をしているけれど、私の2018年は浪人2年目の監獄生活だった。

 「出会った時がラブライブ!の始まり」だとは言うけど、その時に見ておかないと取り戻せないものだって実際にあると思う。ニジガクなんて、確実に今追わないと後追いで多少なりとも色褪せるタイプのコンテンツだろう。(あれは明らかにコンテンツ諸々の解禁タイミングまで計算しているので)

 2018年、いや2017年も含めて、あの頃のAqoursも、たぶんそれを経験できなかったことで、大事なピースが欠けてしまうようなそんな年だったと思う。

 最近になるまでまともに聴けなかった『想いよひとつになれ』、たった一曲のパフォーマンスにフルパワーを注ぎ込み完成させた『MIRACLE WAVE』、計算されつくされた展開の果てに、満を持して実現された奇跡の『Awaken the power』『Thank you,FRIENDS‼』『No.10』。

 後追いだったり、事実だけすることはできたとしても、それらをその場で一緒になって経験したときに見えた景色や感情は、今から取り戻すことはできないのだろうなと思うので、いろんなものを読み解いていく上でピースが欠けていて躓いたり、思い出す思い出がなかったりと、経験していないことが影響しているなと感じることは少なくない。

 私は、提示された物を受けて私たちが抱く感想も、ある程度クリエイターの手で計算されていると考えているので、クリエイターの想定していない場所、あるいは第一の発信対象ではない場所からそれを振り返っても、果たしてそれはクリエイターの作り上げた世界観を十分に享受できているか疑ってしまう節がある。

 

 

 

 って書いてはいるけど、別にこれはメンヘラクソ記事ではなくて。逆にいえば、例えば公式側が過去の映像をまた提示することも、ある程度何らかの意図を以って行われていることだと思う。

 『勇者という特別な力で世界を救う』御伽噺(いきなり始まるドラゴンクエスト)が、『世界を救えなかったが希望は捨てなかった』物語によって説得力を持つように、それを見ることができなかったからこそ見えるものだって存在するのである。

 紅白、スクスタ、ラブライブ!フェス、バンナムフェス…様々な場所から、今は所謂新参や復帰勢、つまりたくさんの「2017~2018を経験できなかった人」が現れてAqoursを好きでいてくれている。

 

 現在、コロナという元老院の妨害によっていろんな企画がつぶれていく中、公式さんが何回も過去のライブの上映会を行っている。そして、そんな中まだ潰れていない企画として残っているのがAqoursのドームツアー。あの頃のように猛スピードで駆け抜ける日々がまたやってくる。

 そう考えたら、これらの上映会って、コロナの穴埋めの意味もあるけれど、「2017~2018を経験できなかった人」が2020年をより意味のあるものにするための布石というか、前振りの意図もあると思う。

 4thで『想いよひとつになれ』をやる前に、1stの上映会をやったりしてたし、そんな気もする。

 もしかしたら、振り返る形で鑑賞しておくことで、ツアーのとき、かつて経験できなかった時の感覚がどこからか沸き起こるかもしれないし、経験していないからこそ感じられる感覚もあるかもしれない。

 

 

 経験していないから感じられる、というのは少し書き方に問題があって、「経験していない」ことを経験しているって方が正しいのかもしれない。たとえば、それまで特に推しがいなかった自分だからこそ、それを経験して歩夢ちゃんが好きになった自分自身がニジガク1st2日目の『開花宣言』の素晴らしさの証明になったし、4thを経験していないからこそ、ラブライブ!フェスでは完全に予想外、ノーガードの状態で「Snow halationに並ぶ必殺技WATER BLUE NEW WORLD」を見ることができた。

 

 

 6thツアーが開催されたら、こうして今家から過去を振り返る事が何らかの意味を持つのかもしれない。それはコンテンツがそういう提供をするのかもしれないし、個人個人の中での化学反応(それもクリエイターは計算済みかも)によるものかもしれない。だから、今過ぎ去りし時を求めることが楽しみだし、同じく「2017~2018を経験できなかった人」たちも、こんな気持ちでいられたらいいなと思う。

 

 先代と比べられてきたことを筆頭に、常に逆境の中戦ってきたAqours。それでも、廃校も、敗北も、理不尽な世界も、いつか終わりが来る時間でさえも、Aqoursはすべて味方につけてきた。雨も嵐も虹が掛かるまで、星が見えるまでの布石でしかない。レジェンドとなった先輩の後という圧倒的アウェーでさえも、「レジェンドに挑むチャレンジャー」になることで、最大の逆境も自らの物語の舞台装置に変えてしまったのだから、今現在のコロナという災厄でさえも、Aqoursとそれを創りあげた人たちなら、最高の舞台装置に変えてしまうのかなという期待と、今の期間でもうすでにその準備は始まっているのだというワクワクを胸に。いつかあの人たちに会える未来を思うと、その日がとても楽しみで、そんな思いのままに筆を執った次第である。