伊波杏樹さんや高海千歌ちゃんをヒーローだと言っている人がいた。正しいと思う。主役として歩き始めた人がいた。かっこいいと思う。「ヒーローになりたかった」とても刺さった。
先日、「桜内梨子ちゃんは裏の主人公」って考え方を教えてくれた人がいた。考え方自体は殆ど同じなんだけど、でも自分はそれに「主人公」って言葉を敢えて当てないかも、みたいな事を言った記憶がある。
今年に入ってから、「主役」「主人公」について考える機会がとても多かった。高海千歌ちゃん、小原鞠莉さん、切札ジョー君、逢田梨香子さん、ダンデ。ドラゴンクエストⅪも今年プレイした。スクコレのFs交流会では、私は主人公になれなかったが、主人公穂乃果を導くものとしてカードをプレイするプレイヤーと出逢った。そして、リリースされたスクスタである。
そう、今回は主人公であるこの子の話。
ラブライブ！ANNで、リーダー格3人の中に入っていた彼女。穂乃果、千歌に続く三代目主人公ポジションだ。最初、スクフェスに彼女が実装されたとき、私は「ああこの子はスマイルじゃなくてピュア属性なんだな」と思った記憶がある。スマイル属性の曲、キャラクターは現在思考が強く、それに対してピュア属性は未来思考が強めだ。それぞれのストーリーでは、グループの未来を担う存在はピュア属性だったし、つまりはそういう方向性、ラブライブ！の次のステップなのかなとぼんやりと考えたりもしていた。
「主人公」と「あなた」について
スクスタでは私たちは「あなた」というキャラクターに置換され、ストーリーに組み込まれる。そして、「あなた」は「一番近くでスクールアイドルを応援する」事に特化した存在。
一番近くで応援するキャラクターは、一番相手を理解して、そして肯定してやれる人間だと言える。ストーリーの中で「あなた」は9人それぞれに寄り添い、理解し、そしてその子にとって一番のサポートをしてきた。
似たような役割を持つキャラクターは、これまでもいた。
私は皆が決めたこと、やりたい事にずっとついていきたい。道に迷いそうになる事もあるけれど、 それが無駄になるとは私は思わない。皆が集まってそれぞれの役割を精一杯やり切れば、素敵な未来が待っているんじゃないかな。
無印アニメ2期第6話『ハッピーハロウィン！』 南ことり
千歌ちゃんにとって輝くということは、自分ひとりじゃなくて、誰かと手を取り合い、みんなと一緒に輝くことなんだよね。
私や曜ちゃんや、普通の皆が集まって、ひとりじゃとても作れない大きな輝きを作る。その輝きが学校や聞いてる人に拡がっていく、繋がっていく......。
それが、千歌ちゃんがやりたかったこと。スクールアイドルの中に見つけた、輝きなんだ。
サンシャイン！アニメ1期第11話『友情ヨーソロー』 渡辺曜
主人公高坂穂乃果の「あなた」は南ことりだし、主人公高海千歌の「あなた」は渡辺曜だった。特に、渡辺YOUなんて言う、「You」って書いた帽子被った子なんて、機能的すぎる。
主人公はスマイルだが、クールにも目を向けてみる。絵里の「あなた」は希、理亞(スクコレでの収録からクールで確定)の「あなた」はルビィ、梨子の「あなた」は曜。主人公属性も持つ理亞は別として、海未も含めてこのクール属性の中枢キャラはスマイルの主人公を導く役割を担うため、「あなた」がいるにも関わらず「あなた」らしい側面もある。
震える手を握っていくんだよ。
ここまで見てくると、「あなた」役＝ピュア属性という仮説が立つ。理知的だったり、純粋に「強い」キャラクターが多いクール、情熱的でパワーのあるスマイルに比べて、おっとりしていたり、引っ込みがちなキャラの多いピュア。そうやって臆病な分、誰よりも相手のことを見ている属性でもあるのだろう。
逆に、ピュアは未来思考なので、未来の主人公でもある。主人公には「あなた」がいて、ルビィの「あなた」は花丸だし、花陽の「あなた」は凛。凛と花陽に限って言えば、凛の「あなた」も同時に花陽だろう。そして、おそらくその流れを汲む歩夢には、「あなた」。主人公の属性と「あなた」の属性が、役割の転換と同時に入れ替わる。
ここで注目して欲しいのは、このように並べたルビィ、花陽は1年生であり、彼女らが主人公であるシーンは基本的に作品の外にあるということ。(ルビィが主人公である描写は、「高海千歌のストーリー」に必要である。)それに対して、「未来の主人公」である歩夢は2年生で、そのストーリーは、現在進行形で描かれるということ。かつて「あなた」だったピュア属性が、今度は主人公として「あなた」と共に歩き出すような、ルビィや花陽のストーリー。同じくピュアの主人公歩夢と重なるところは、あるだろうか。
「あなた」の役割
さて、「あなた」を「一番近くでスクールアイドルを応援する」存在だとあるが、実際ストーリー中でのあなたの役割はどうだっただろう。確かに、「あなた」は一人一人に対してはピュア属性の「あなた」だった。でも、メインストーリーでは、絵里や梨子みたいな、導く役割が強調されていたと思う。そういう意味で、メインストーリーの「あなた」にはクール属性を感じる。
また、そのメインストーリーは、「あなた」を一人称として展開される。歩夢が主人公とは言うものの、そもそもソロ中心の彼女たちのストーリーは、そもそも全員が主人公……、いや、違う。全員が主人公であることを望んだのは誰だったか？そう、主人公は「あなた」である。メインストーリーは、いわば「あなた」のキズナエピソード。そこで描かれた「あなた」は、メンバーに寄り添い、導き、そしてグイグイ引っ張る主人公でもあった。スマイル属性を感じないだろうか。あの高坂穂乃果や高海千歌のような、主人公としての役割を。
こう見ていくと、「あなた」からはスマイルクールピュア全ての属性を感じたりもする。「あなた」は「あなた」であると同時に、主人公の導き手であり、主人公でもあるのだから。
「あなた」と上原歩夢
ピュア属性上原歩夢の「あなた」はスマイル属性を持つ「あなた」である。では、同じく主人公である「あなた」にとっての「あなた」は誰だろう。主人公としての「あなた」は、クールな導き手で、スマイルな主人公。そんな「あなた」を一番近くで支えてくれるピュアな「あなた」……。上原歩夢以外に考えられないだろう。
キズナエピソードでは、みんなのために頑張る「あなた」の一番近くでサポートする彼女の姿が描かれた。
彼女は幼馴染だけあって、一番「あなた」を分かっている存在だ。スクールアイドルを始めたのも、「あなた」がいたから。
主人公としての歩夢をみてみると、序盤の彼女は「あなた」でしかなかった。だからこそ、「あなた」のために立った初めてのステージは、最下位という結果に終わったのかもしれない。
それでも、彼女が主人公である理由は、スクスタという舞台で「あなた」であり続けたからだろう。
「私が成長するのを一緒に見ていてほしい」。彼女は、「あなた」だけでなく、応援してくれる人間全てを「あなた」にしてしまう。「あなた」の「あなた」である上原歩夢は、こうしてすべての「あなた」に支えられ、そして全ての「あなた」の主人公になるために成長していく。
上原歩夢は私たち全員にとっての「あなた」であり、そして「あなた」である彼女は全ての「あなた」のために今主人公として舞台に立とうとしている。
開花の時は、近い。
