#てつがくのドンカラス

それでは皆さん元気よく!不意打ち追い討ち?桜内!得意な技は?タイプ不一致!

『黒梨香子』を読む。

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 私は普段から、TCGのデザインの元となった分類の理論であるカラーパイに触れており、またそれなりに共感覚も備えてはいるようで、それを元に彼女は青黒な人間だと唱えていた。

 拒絶するときはバッサリと切り落とす容赦なさ、「いじめられたらいじめ返せ」と答えるような、パワーによる解決も厭わないところ、そして、何よりも仕事に対するストイックさ。

 彼女のそんなところに、「すべてを塗りつぶす強さ」「手段を選ばない恐ろしさ」を表す黒を強烈に感じていた。

 

 また、ラブライブ!サンシャイン!!で彼女演じる桜内梨子だったり、『Principal』楽曲全般のイメージだったり、そんなところから青さも感じたりもする。

 役者は役に命を吹き込むが、それもある種の人間関係のひとつ。彼女自身も桜内梨子に影響を受けていない理由はない。空や海を味方に付け、世界すらもその色に染め上げたAqoursの中で最もAqoursらしい人間桜内梨子の「理解」「証明」する力は、逢田さんの中にも絶対に生きている。『逢田梨香子のRARARAdio』七夕放送で、短冊に掛ける願い事のリクエストメールを容赦なくバッサバッサと切り捨てていった彼女だったが、本気で努力している人間の願い事は一緒に願ってくれた。そういう人だ。

 理解、証明は前に進むステップだ。気持ちだけで突っ走る訳ではなく、確実に一歩ずつ、しっかりと踏みしめて歩いていく。だから「分からない」に戸惑いもするし、「分かって」進むからこそ、「澄み渡る」なんていう青と相性のいい形容詞で彩られた景色がよく似合う。

 また、頭の切れて落ち着いた所謂クールなキャラクターは、よくホビーアニメで熱血ファイアな主人公のライバルになっているが、そうしたキャラクターって大概青(か黒)がイメージカラーで。青は、相手を理解し、受け入れて支えてあげながら隣を歩いていく色。水や空気のように相手に寄り添って、例え何が起きたとしても絶対一人にしない。

 だから、戸惑いながらも1歩ずつ着実に歩こうとする『FUTRUE LINE』『君がくれた光』、誰かに寄り添い支えてあげる『ORDINARY LOVE』『アズライトブルー』は青色がよく似合う曲だと思うし、その両方の性質を兼ね備えた『I will』なんて、必殺技『WATER BLUE NEW WORLD』並みの青さを持っていると思う。

 

darkphoenix505pianoles.hatenablog.com

 

 

 だが、こうした黒と青を感じるからと言って青黒と唱える事は、色に理解のある方からすると少し違和感を覚えるかもしれない。

 

https://twitter.com/chiakinman/status/1202208838251941888

 

 逢田さんは、正直な方だ。それに対して、青と黒単体ではなく、「青黒」として見るとどうなるか。実際のゲームをプレイした方はピンとくるだろう。青黒の得意分野は、「理解」により弾き出された最も効率的な手段で、相手を「抹殺」する事だ。確かに、彼女には自らの持てる能力に任せて強引に道を切り開くようなパワーはある。だが、最も効率的な抹殺手段はそれこそ相手の急所を的確に突くこと、機能不全に陥らせることであり、「調略」「暗殺」「諜報」「裏切り」などが挙げられる。これに関してはまあカラーパイ理論の話ではあるが、それでも「曇天」「泥水」みたいな少し穢れたイメージが付きまとう色だとは思う。

 こう考えると、あの人から黒や青は感じるにしても、青黒って言われると違和感は残っていた。

 

 

 

 

 

 さて、先日私は、フォロワーさんの厚意で『逢田梨香子OFFICIAL FAN MEETING「with Us」vol.1 』に、前から四列目の正面という凄まじくよく見える席で参加することができた。その時、彼女は私たちの目の前で初めて『for…』を披露したが、そのライブは私が彼女に抱いていたイメージを大きく変えた程のものだった。

 

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 本当に黒い曲なのだ。カップリングも含めて、「白梨香子」と対比された「黒梨香子」が強調されたMVに、黒の衣装を纏った彼女。どう考えても黒である。

 

 ライブの時、私たちは舞台に立つアーティストにブレードを振っていたわけだが、そうした光は大抵各々の曲に対して抱いているイメージカラーである。『FUTRUE LINE』では私は迷うことなく青を振っていたが、あの曲は黄色、ピンク、白などいろんな色を選ぶ人がいて、カラフルだったのを覚えている。だが、この曲のイメージカラーは黒であることは共通認識だと言って差し支えないだろう。RARARAdioの8/4放送でも、「アズライトブルーは青にしてね」との発言があったように、ある程度アーティスト側からも求めるラインはあるものだ。

 しかし、あの場にいた人間の多くが使用したであろう『1st EP『Principal』発売記念Birthdayイベントブレード』等には黒い光は存在しない。そもそも、光を吸収し色が見えない状態が「黒く見える」ということなので当然ではあるが。

 

 だから私たちは、あの時黒以外の色で黒い世界観に応えなければならなかった。『FUTRUE LINE』のように、各々のイメージカラーではない。この曲は黒なのだから。

 

 私はRARARAdioやその他インタビューで逢田さんに共感覚があるのは知っているし、例えそうした感覚も論理的な裏付けもなくてもイメージカラーという概念はそれなりに一般的で普遍性のある概念だと思っている。少なくとも、あの場では全員が「イメージカラー」だと思ってあの光景を作り出したのだろう、そう確信するほどの説得力があの空間にはあった。

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 赤い光が彼女の黒の世界を創り出していた。

 

 彼女は、曲が終わると「この曲のイメージって赤なんだね!」とコメントしていた。本当にみんな示し合わせたかのように真っ赤だった。振っている最中にボタンに指が当たって気がついたら白になってた(@AqoursJETpoke)とかいう馬鹿が映り込んでいいるらしい。確かに、ジャケットも赤が多く使われているし、主人公は赤っぽい装備をしてる。でも、黒じゃないから代用として赤が選ばれたのかっていう訳でもないと思う。

 

 赤といえば、連想するのは何だろう。熱血ファイアな主人公、情熱、炎…こういったものたちではないだろうか。いずれも、この曲のイメージ、いや、この曲を歌っている彼女のイメージにマッチしている。

 彼女の表現における武器は、演技の中の感情の乗せ方だ。『ORDINARY LOVE』の「ありきたりな日常でさえも貴方となら輝き出す」なんてその代表格で、爆発的な想いが一気に押し寄せてくる。私自身、ラブライブ!サンシャイン!!二期12話『光の海』で「スクールアイドルをやりたい」と叫んだあの演技で完全にノックアウトされ、ここまで彼女を追い続けている。

 思えば、嘘がつけない、思ったことをすぐに口にしてしまう彼女は、衝動で生きているような側面もある。そんな一面に魅かれた人も少なくは無いだろう。

 内から沸き起こる衝動、爆発する感情。それはあの人そのものだし、だからこそ、「迷わない、迷いたくはないから」と叫ぶ彼女とそれを照らす光は、とても赤かった。真っ赤だった。それでも、そんな赤によって作られた世界は、ちゃんと黒だった。どうしてだろうか?

 

 

 

 『Principal』発売にあたり、彼女はこう語っている。

 

ソロデビューするということは、これからは自分が先頭に立って前に進んでいかなければならないし、元々主役になったり何かの中心に立ったりするタイプではなかったので、これからは自分が"主役"にならなければならないという気持ちを込めて付けました。

逢田梨香子、アーティストデビュー記念インタビュー - アキバ総研

 

 さて、そんな「主役」な『Principal』だが、先に述べたように、青い曲が多かった。確かに『FUTRUE LINE』の主役は逢田さんである。だが、その他4曲は、私には「主役に寄り添う曲」に聴こえる。まあ、それも主役がテーマのこのEPのコンセプトに相違はないのであるが。

とーやま校長:どんな人に届いて欲しいとか、どんな気持ちで聴いて欲しいとかありますか?

逢田:頑張りたいけど、踏み出したいけど、なかなか勇気が出せないっていう方に、ぜひ聴いていただきたいです!

とーやま校長:このタイミングで何かを始めないといけないけれど、勇気が出なくて躊躇しているヤツにしたら、この曲はとんでもない武器になるんじゃないですか?

逢田:私自身もそういう心境なので、すごくこの曲には勇気をもらっています!

逢田梨香子 1st EP『Principal』は「勇気が出せない人に届いて欲しい」 - TOKYO FM+

 

 青さを感じる『Principal』は、主役の曲と、「主役に勇気を与える曲」によって構成されている。それに対して、赤い『for…』はどうだろう?

好きだけじゃダメだと気がついた時から

いつもそばに君がいるのに 

  主役に寄り添ってきた人間が、誰かに寄り添ってもらう側、つまり主役になったのだ。そして、その赤い主役にはすべてを覆いつくす黒に対する説得力がある。彼女の表現の武器である感情や衝動が、強い女性像として描かれる『黒梨香子』を作り上げることに成功している。

 そこでは結局、感情や衝動、情熱が強さとして変換されているわけだが、それを行うのはいったい何だろう?それは、言わば『踏み出そうとする人間のとんでもない武器』だろう。今まで主役に寄り添って、その勇気を出す支えになってきた逢田さん。だからこそ、彼女自身が勇気を出して踏み出そうと叫ぶとき、すでにその時その勇気は最強の武器として証明されている。

 あの人が迷いたくないから信じたい時。それが信じて大丈夫だって歌い続けてきたのが、他でもない逢田さん自身なのだ。

 

 敢えて「白梨香子」「黒梨香子」に寄せるとすれば、『for…』を歌う「赤梨香子」の想いを『Principal』の「青梨香子」が支えている。「青梨香子」を持っているからこそ、「赤梨香子」は「黒梨香子」になることができる。

 これは元はカラーパイ理論において、黒が赤と青両方と相性がいいことから展開したものではあるが、それでも、あの人自身が主役に寄り添って勇気づける存在であることは、主役としての逢田さんの彼女らしさを支えている事に間違いはないと思う。

 実際のところ、RARARAdioを始めとしたあの人の売り方は、企画が面白いというよりも、特に捻りがない普通の企画をあの人がやるから魅力的になるという面が強く、衝動的な反応で企画も視聴者もあの人の色に染め上げているなぁと日ごろから感じている。でもそれは黒いから染め上げるのではなく、炎のような衝動が水や空気のように行き渡るからなのかなぁと思うところである。

 

 今まで私たちは、逢田さんの衝動的なレスポンスやありったけの感情をのせた歌声のような赤い部分と、繊細で敏感で、一番近くで理解して背中を押してくれるその青い部分を魅力に感じていたわけだが、それが『for…』という楽曲において、強い人間像を表す黒い彼女を創りあげるのは本当に見事だと思うし、そうした彼女の魅力を存分に発揮できる場が存在することがとてもうれしい。

 

 青い部分を持つ彼女は、赤によって黒を表現する。『逢田梨香子OFFICIAL FAN MEETING「with Us」vol.1 』は、それを象徴するようなステージだった。

 

 

 

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