6/8、6/9に開催されたAqours5thlive、6/14に発売されたスクコレ劇場版コラボ弾(、6/19リリース逢田梨香子ファーストEP principal)と、忙しい季節だ。さて、先日投稿したネクスパに関する話に続き、また似たような話をしようと思う。
まずこれまでのスクコレ、特にアニメコラボ弾を軽くおさらいしたいが、そこはこの方に丸投げする。
トリスのメモ帳(30) TCG『スクコレ』に込められたAqoursの物語 雑談記事 - トリスのメモ帳
こっちの解説は、元から決闘者だった私よりこの方の方が上手いかな。
さて、2019年6月13日(14弾発売前日)、いや、6月8日(5thライブ)まで、スクコレはおおよそこのままのデザインで展開されてきたと言っていい。
例えば。
0から1を誓った海岸の次の回で歌われた『MIRAI TICKET』
このライブに必要なピースが合計で9であること
そしてこれを成功させた時に、ラブライブ本選に出場するという『勝利』には届かなくとも追加ターンを得られることが、まるでMIRAI TICKETを経て二期で大きなチャンスを掴んだ物語と重なるようで、スクコレの中にもラブライブ!があることを強く感じられるのです。
引用記事より抜粋
このカードは実際の盤面でアニメ通りの活躍をした。ミラチケSYaRon!なんて環境デッキがあったみたいに、盤面を溜めた後エクストラターンを駆使して一気に上がるデッキは強かった。ミラチケを撃って追加ターンで勝負を決める動きはとても強い上に汎用性が高く、Aqoursデッキのパワーの底上げに大きく貢献した。
それはずっと変わらなかった。例えばawaken the powerは理亞とルビィの2人が放つ文字通りの必殺技だったし、Liveを積み重ねてWONDERFUL STORIESに繋げるデザイン通りの流れは王道パターンだった。
要するに、アニメの再現をしていれば勝てるゲームだったのだ。デザイナーズが強かった。
確かに12梨子+13SPのようなプレイヤーズ、ミラチケSYaRonやモメリンモノズのような中間デッキもあったが、基盤にあるのはデザイナーズだ。ユニットや学年を軸にすると多少自由度は高くなるが、キャラ単なんて分かりやすいデザイナーズだろう。
では、これらを踏まえて今回の14弾を見てほしい。
この2枚をアニメの通りに見れば、ビリアゲ撃って続けてブラメロを撃つというデザインなのだろう。
5/13更新の今日のカードでも、この使い方に触れているので、この見立ては間違ってはいないだろう。だが、スクコレをプレイしている方はちょっと考えて欲しい。
ルビィを使って二回連続ライブをするのが強力である事は、過去の環境デッキが証明している。行動回数を誤魔化せるカードはいつだって強力だ。だが、ビリアゲとブラメロは4点曲。しかもブラメロはドロー効果を持ち、能力にライブ衣装を要求する。そう、この動きめちゃくちゃ弱いのだ。コンボを決めるためにはピースがいる。手札がいる。それらを揃えて、延長戦でビリアゲブラメロを決めて……8点。このゲームは9点取るゲームなのに、8点。しかも、ブラメロの効果は、今更のようなドロー効果。全てが噛み合わない。
更に言えば、ビリアゲはSaint Snow、ブラメロはブラメロ衣装を要求するが……当然ながら、Saint Snowのカードでブラメロ衣装は存在しない。このコンボを決めるためにはデッキ内にSaint Snowとブラメロの両方が必要なわけで……お互いがお互いにノイズとなり、足を引っ張り合っている。
更にこのカード。
このカードはブラメロ自体とは噛み合うが、延長戦コンボとは全く噛み合わない。まずビリアゲに反応してくれないし、ブラメロから効果発動しても、あと1点の所で恩恵が少なすぎる。ブラメロ自体とは噛み合うけど、ブラメロ周りのカードを大量に突っ込んでもそれらは全く噛み合わない。
あれ……この弾って、
一応花形にブラメロを置いてるんだよね???確かに未熟やMY☆舞(それぞれ、1期、2期コラボ弾のSPカード)はプッシュされたわけではない。だが、ブラメロは露骨にサポートカードを刷っておいてこのザマだ。
一応商品紹介には名シーンの再現とは書いてあるが、これを再現しても全く強くない。プレイヤーは、アニメの再現をしてしまうとほぼ確実にゲームに負けてしまうのだ。
これと似た話を前にも聞いた事があるだろう。5thライブが再現ではないという話を、一度は何処かで耳にしたはずだと思う。
概要だけ知っていればここの解説は読み飛ばしていただいて構わない。あの場所はそれまでのようなアニメの再現ではなかった。あの場所にいたのは、卒業し一つの節目を迎えても先に進み続けるAqoursではなかった。あの場所にいたのは、創作としてのAqoursの物語が幕を下ろしてなお先に進み続けることを選んだAqoursの姿だった。そして、その場を目撃した私たちは、ただの目撃者ではない。自分たちも本気を出して輝く事を誓った渡辺月だったはずだ。(少なくとも私はその覚悟で10を叫んだ。ラブライブ!は遊びじゃないから。)偶然か必然か、私たちは渡辺月を始めとした浦女、静真の10人目たちと同じく、虹のステージを作ってしまったのは、結果それを裏付ける事となるだろう。
あの場には、確かに劇場版のあの光景があった。でも、それは再現じゃない。でもそれは確かにAqoursと、その輝きに照らされて月から太陽になろうとした人々の物語だった。
プロジェクトラブライブ!は先へ進み続ける。きっと今、次のステップへ足を掛けた所なのだろう。アニメをただ再現しているだけの時代は終わった。アニメを追いかける時代は終わった。みんなが次のステップに向けて本気にならなくちゃいけなくて、それは追いかけるって事では無いのだろう。
アニメが終わって、再現する事を売りにしていたコンテンツはどうなるの?プロジェクトラブライブ!の解答に、去っていった鹿角聖良の言葉を借りよう。
今のこの瞬間は決して消えません。Saint Snowは、わたしと理亞の想いは、ずっと残っていく。ずっと理亞の心の中に残っている。どんなに変わっても、それは変わらず残っている。だから追いかける必要なんてない。
Aqoursたちは、Aqoursを演じ続ける。それは再現じゃないし、演じる対象なんて見えないけど、でもそれは消えたわけじゃない。ずっと残っているから。
スクコレも再現が売りだった。でも、そうじゃないんだって事を今回のbrightest melodyのカードは伝えているのかもしれない。私たちプレイヤーは、スクールアイドルのカードでゲームを作り上げる。でも展開される物語は再現なんかじゃないけど、でも偽物なんかじゃない。何故なら、そのカードに紛れもなく彼女たちの輝きが描かれているし、それを使う私たちの一手一手で描かれる物語は、紛れもなく本気を出して輝こうとする10人目の物語だからだ。
スクコレはもう再現するだけのゲームじゃない。カードの活かし方を考えて、考えて、そして出した自分の物語で戦わなくてはならない。
brightest melodyのカード自体は決して弱くはない。でも、Aqoursの真似をしてるだけじゃあ勝てないから、自分で使い方を考えなければならない。このカードを使ったデッキは、もはやデザイナーズであることを求められてはいない。プレイヤーズとして、既存のカードプールから相性のいいカードを見つけて組み合わせなければいけない。
でも、それはカードゲームの最大の魅力でもある。無限のプールから運命の組み合わせを発見し、それを一つの物語として束ね上げる。そうして作り上げられたデッキ同士の対戦、お互いの物語のぶつかり合いはとても熱く楽しいもので、スクコレに限らず今もなお沢山のプレイヤーを熱狂させてやまない。
だから、みんなもスクコレの世界に飛び込んで、そしてみんなの物語を作り上げて欲しい。色んな人の組んだデッキと戦いたいし、私の組んだデッキの戦略を色んな人に見せつけたい。
大丈夫だ。怯えなくてもいい。最初は誰かの真似でもいい。誰だって最初からオリジナルなんて持ってない。誰も貴方を拒まない。誰にだって物語を語る資格がある。
何故なら
全てのプレイヤーには、10人目として輝く資格が与えられているからだ。